ゴッホ「ひまわり」のアレンジ名画
ゴッホ「ひまわり」のアレンジ名画

ゴッホやフェルメールの名画を漫画・アニメ風にアレンジした画集『絵師で彩る世界の名画』(サイドランチ)が世界的な注目を集めている。

この画集が発売されたのは2016年のこと。発売当初も多くのメディアで紹介されたが、2025年2月にSNSユーザーがフランスでフランス語版を購入したことを紹介するとあらためて話題に。今さらながら日本のオタクカルチャーの凄まじさを知らしめることになった。

画集に参加したイラストレーターのエイチ(ech)さん(@ech_)にお話を聞いた。

ーー画集に参加された経緯は? 

エイチ:イラストSNSや旧Twitterなどでイラストを見た編集部の方が、自分の作風がモネの作風と合致しているということでオファーをいただきました。当時、名画の現代作家のリメイクというコンセプトに面白さを感じましたが、それとともに原作イメージを壊さないかと不安になりました。

ーー制作にあたりこだわったこと、苦労されたことは?

エイチ:オファーをいただいた際にも感じたことと重複しますが、当初は原作のイメージを壊さないよう、かつ自分の作風を活かすというバランスの調整に苦慮した記憶があります。また印刷物という点で、絵画そのものとは違う、自分の目指す彩色の印象が出せるかどうか悩みました。 

ーー今回の反響への感想を。

エイチ:取り扱い書店では売り切れが続き、出版社様からは発注数が激増したとうかがいました。こちらの書籍は仏版が非常に好評のようで、さまざまな美術館で販売されているとのことで驚いております。仏版のみしかない、日本語版が先行していたことを知らない方が多かったのも印象的でした。 

ーー約10年を経て再注目される稀有な例ですね。

エイチ:Xで仏翻訳版のバズを受け、数年前の過去ポストが掘り起こされたことで改めてクローズアップされたことは驚きはありますが、イラストを制作した側として非常に光栄で嬉しく思っています。こちらが出版された当時は二次創作の延長というイメージで賛否があり、むしろ受け入れにくいという感想が多かったように感じます。改めて取り上げられた今、皆さんに好意をもって取り上げていただけていることに驚きと喜びがあります。

◇ ◇

『絵師で彩る世界の名画』にはゴッホの「ひまわり」、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」、ミレーの「落穂拾い」、俵屋宗達の「風神雷神図屏風」、そしてエイチさんが担当したモネの「日傘をさす女」など数多くのアレンジ名画が収録されている。

元になった名画や解説テキスト、美術史年表やコラムも収録されているので名画に馴染みが無いという方もぜひ一度手に取って、その豊かな世界観に触れていただきたい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)