今から5年前、Xユーザー・@lcJRv6nr1WO4CMmさんは、16歳の愛犬を亡くしました。深い悲しみに包まれた日々を過ごし、1年半ほどが過ぎた頃のこと。「寂しいね。また動物をお迎えしようか」-家族の間でそんな会話が自然と交わされるようになり、新たな出会いが訪れたのです。
■病院前に遺棄された子猫たち、誰かひとりを迎えるはずが…
会場で出会ったのは、4匹の兄弟姉妹の子猫たち。譲渡会の方の話によると、生後推定2カ月ほどの彼らは、動物病院の前に発泡スチロールの箱に入れられて置かれていたのだそうです。
「猫たちは、触れるのが怖いほど小さかったのを覚えています。譲渡会の方から『まずお試しで1週間、一緒に過ごしてから気に入った子を1匹選んではどうか』と提案を受けました。それから1週間後に子猫たちが我が家にやってくるまで、譲渡会の方から教わった注意事項を確認するなど慌ただしく準備を進めたのです」
寒い季節だったため、暖房器具を使う際の注意、ごはんや水の準備、家族での役割分担など、一つひとつ確認しながら“お試し期間”のための準備を進めていきました。
「譲渡会の方に連れられてやって来た4匹の子猫は、部屋の中を動き回って興味津々な様子でした。トイレのしつけは済んでいたため粗相などの心配はありませんでしたが、とにかく元気いっぱい。すぐ視界からいなくなるので、家族みなで家中を探し回るような慌ただしい日々が始まりました」
あっという間に時が過ぎ、譲渡会の方が再び訪れて「どうですか? 誰かひとりでも引き取りませんか」と確認されました。
「家族みな、1匹だけに決めることができなくなっていました。そして、譲渡会の方には『全員、お迎えします』と伝えたのです。私たちは4人家族だったので、ひとりずつ4匹の子猫の名前を決めました。1匹目は、車のCMに登場する俳優ジャン・レノ扮するドラえもんに似ていたことから『ジャン』、2匹目は、びびりな子だったため『びび』、3匹目は、ちょっぴりどんくさいところがあることから『ドン』、4匹目は、白い被毛に点々模様があることから『テン』と命名。全員を迎え入れることになりました」
■今なお“語り草”となっているハプニング
家の中は急速に“猫仕様”へと変化していきました。キャットタワーや3段式ゲージを用意し、猫たちの一挙手一投足が日々の関心事になったといいます。
「猫たちがどこで過ごしてくれるか、どこで寝てくれるのか…気になって仕方ありませんでした。私は当初、猫に引っ掻かれるのが怖くてびくびくしながら抱っこしたり撫でたりしたのを覚えています。甘噛みに驚かされることもありました」
当初は人間目線で考えていた猫との共同生活。だんだんと、猫目線による暮らしになっていきました。
「いつのまにか家は、猫を優先した居住空間に。生活も猫ファーストになりました。猫にとって危険なものは排除、誤飲しそうなものは片づけるように。それまで雑然としていた部屋は、すっきりと片付きました。食べ物や小物を出したらきちんと片付ける、人間側の“しつけ”が徹底されたのも猫を迎えてからです」
猫との暮らしが初めてだった飼い主さん家族。4きょうだいは、すくすくと成長していく中、思いがけない出来事が起こったこともありました。
「お迎え当時、インターネットが繋がらなくなってしまい、調べてもらった結果、猫にコードをかじられていることが判明。あわててコードカバーを購入しました」
そして、ある朝、忘れられない大事件が起こります。
「雨戸のシャッターを開けた後、テレビに気を取られて数十秒ほどはき出し窓を開けていたところ、4匹の猫全員が脱走。気がついたときは道路へ向かう後ろ姿と、テンくんのまっすぐ立ったシッポが見えました。とっさに『メーよ!』と声をかけると…奇跡が起こったのです。なんと、みんなきびすを返して次々に窓から部屋の中へ!このことは、今でも我が家の語り草となっています」
■4きょうだい、それぞれの「らしさ」とともに
ジャンくん、びびちゃん、ドンちゃん、テンくんは、現在12歳を迎えました。血のつながったきょうだいでありながら、全く違った個性を持っています。
「ジャンくんは、4匹の中で一番人懐こい子です。びびちゃんは子猫時代、とてもビビりだったけれど、今はきょうだいで一番強い存在。ドンちゃんは、名前の通り今でもどんくさく、ひとりでいるのが大好きです。テンちゃんは、きょうだいで一番体が大きいのに一番びびりで、よくおしゃべりします」
4きょうだいは今、優しい飼い主さん家族のもとで幸せな猫生を歩んでいます。
「譲渡会の方からいろいろ丁寧に教えていただいたおかげで、みんなケガも大きな病気もなく育ってくれました。あっという間の12年だったように思います。今では、なくてはならない家族です」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)