義妹は、電気やガス、水道も止めてしまいました
義妹は、電気やガス、水道も止めてしまいました

嫁と姑の関係は、世間で語られるほど悪いものばかりではありません。むしろ程よい距離感で穏やかに築かれる関係も多くあります。しかし、そこに「小姑」という第三者が絡むと、とたんに複雑さを増すものです。「嫁に出た身だから」と距離を置きながらも、なぜか首を突っ込み話をかき乱す、そんな小姑の存在に悩む「嫁」は少なくないのではないでしょうか。

■「嫁に出た身だから」と言いながら、なぜか通帳は持ち去る義妹

Sさん(東京都・50代)の義母は先日、84歳で亡くなりました。持病を持ち、ペースメーカーを入れながらも、高齢者マンションで一人慎ましく暮らしていました。Sさんは嫁として、そんな義母の様子を定期的に見に行っていました。片付けが苦手な義母のために部屋の整理をし、床に置かれた段ボールや荷物を片づけるなど、ささやかですが仕事が忙しい夫に代わってサポートを続けていました。

義母には「床に物を置く癖」がありました。それが災いし、今年の春先に自宅で段ボールに足を取られ転倒し、腰を骨折しました。そして入院することとなったのです。入院生活は義母にとって辛いものでした。歩けないため体力が落ち、風邪をこじらせて肺炎を併発し、そのまま帰らぬ人となりました。

 その入院中、困ったことが起こりました。長男であるSさんの夫と一緒に、義母から「私に何かあったときのために」と聞いていた通帳や印鑑、保険証書などの貴重品がまとめられた袋を取りに、空き部屋になった義母宅へ行ったところ、袋は跡形も無くなっていました。義母が入院した直後に義妹が先に持ち出していたのです。

■入院費を払えない?義妹の「預かってるだけ」発言

義妹に電話をし、入院費をそこから支払ってほしいとお願いしました。すると、こんな言葉が返ってきました。、

「私は預かっているだけだから勝手にお金をおろしたりできない。泥棒じゃないんだから」

しかし、そもそも義妹は、義母だけでなく兄であるSさんの夫やSさんにも何も言わず、勝手に貴重品がまとめられた袋を持ち去っていたのです。それを「預かっているだけ」と言い張り、入院費の支払いはできないとも言っています。Sさん夫婦からすれば、持ち出された時点で十分困っているのに、「泥棒ではない」という自己弁護だけが響きました。

義妹は、普段から「嫁に出た身だから」という言葉を繰り返していました。お金の手続きも面倒事もすべて兄であるSさんの夫に任せるスタンスです。ところが、手続きに必要な通帳や印鑑は義妹が持っている。矛盾だらけの状況に、Sさん夫婦は身動きが取れませんでした。

■電気もガスも水道も、勝手に止める義妹

義母が入院してから間もなく、義妹は義母のマンションの電気・ガス・水道をすべて止めてしまっていました。「入院が長引くだろうし、基本料金がもったいない」との判断だったようですが、そもそも義妹が光熱費を払っていたわけではありません。実際に義母宅を訪れてみると、真夏にもかかわらず冷房もつけられず、電気も通っていないため薄暗い室内で作業するしかなく、不便で仕方ありませんでした。

義妹の行動には、いつも疑問がつきまといます。何かをするときも一切こちらに連絡がなく、義母のためというより、自分の都合で動いているようにしか見えませんでした。

■義母と私、実は良好だった関係

義母とSさん二人の関係は良好でした。確かに義母は片付けが苦手で、部屋は常に物があふれていましたが、Sさんが片付けを手伝うことを喜んでくれていました。小さなことでも「ありがとうね」と言ってくれる人でした。義母はお金に不自由はしていなかったので、Sさんが手伝いに行くと、帰るときに「これでK太(Sさんの息子=義母の孫)に美味しいものでも買って帰ってあげて」とお金を持たせてくれたりもしました。

しかし義妹は、そんな二人の間に無言の壁を作り続けていたように思います。義母が亡くなった今、そのことがよくわかります。関係上は義妹ですが、年齢はSさんよりもかなり上です。それなのにSさんの前では「私は妹だから、あなたがやってよ」が口癖でした。

義妹の言動のせいで、義母との関係が悪くなりかけたこともありました。しかしそれがなければ、もっと素直に義母と関わり、思い出を重ねられたはずだと、義母亡き後、悔やまれてなりません。

実はSさん自身は、義母から「何かあったときのために持っておいて」と、現金を別に預かっていました。それは夫にも義妹にも伝えていなかったため、最終的に入院費などで困ることはありませんでした。

   ◇   ◇

義母が亡くなったあと、義妹は義母の遺品の必要なものだけをそっくり持って帰っていました。そんな義妹の行動は、義母の遺産を嫁であるSさんに渡したくないという思いによるものなのでしょうか。

義母の遺産については、Sさん自身はあまり関心がなく、兄妹で話し合えばよいと思っています。しかし最後のお別れの場では、義母を悼む気持ちと同時に、義妹への怒りと虚しさが混ざり合う数日間でした。そして、義母と築いたはずの穏やかな思い出さえ、義妹の行動が都度思い出され、心にぽっかり穴が開いてしまったSさんなのでした。

(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)