トルコのイスタンブールは、首都アンカラの人口の2倍以上、約1500万人が暮らす大都市です。そしてイスタンブールは猫と人が共存する街としても有名です。トルコでは国が猫を保護しているため、イスタンブールでも人と猫が共存するためのさまざまな取り組みが行われています。
繁殖力の強い猫が増えすぎることなく、のんびりと暮らすことが可能な理由について『猫の都イスタンブールに住んでみた』の著者、アジアねこ散歩さんに話を聞きました。
■どこでネコたちにごはんを配っても…
─イスタンブールの猫たちには、自由に餌や水を得られる場所や夜眠る場所があるのですか?
地域の人たちや行政の手で、日々ネコたちのためのごはんや水が配られています。例えば日本では公園などで「動物への餌やり禁止」と記載された看板を見ることがあるでしょう。さらに報道などで地域猫にごはんを与えたことから、近隣住民のトラブルとなった例も存在します。
このような看板設置や餌やりを制限する行為が、イスタンブールでは動物愛護法により禁止されています。
観光客含めて誰がどこでネコたちにごはんを配っても怒られることはありません。
寒さをしのぐ場所として、猫の家が各所に設置されているのもイスタンブールならではの光景です。こちらも地域の誰もがネット通販などで購入して自由に設置できるほか、行政が設置することも多いです。
─街の様子はとても綺麗ですが、猫たちはトイレをどうしているのでしょうか?
猫たちは砂のある場所を選んで用を足します。市で雇われた清掃員の方やボランティアによって清掃されます。
ただそのような清掃も完璧に行うことは不可能で、日本とは異なる衛生観念のなかでおおらかに受け入れられているというのが現状だと思います。
─イスタンブールでは猫と共生するために、どのような取り組みが行われているのですか?
猫との共生のために不可欠なのが避妊・去勢手術で、イスタンブールでも広く行われています。ただ野良猫の撲滅が目的ではないので適度に行われており、毎年たくさんの子猫も生まれてきます。
イスタンブールの各自治体には無料で誰もが利用できる公立の動物病院があり、こちらに持ち込めば無料で避妊・去勢手術のほか、病気の治療なども行ってくれます。
◇ ◇
トルコでは、2021年に動物愛護法の改正があり、店頭でのケージによる犬や猫の生体販売が禁止されました。人間と猫の共存は簡単ではありませんが、少しずつ実現されているといえます。
アジアねこ散歩さんの著書『猫の都イスタンブールに住んでみた』では、驚きと発見の連続だったというイスタンブールの猫事情が紹介されています。また、アジアねこ散歩さんのYouTubeチャンネル「アジアねこ散歩ch - AjiNeko」でも、さまざまな場所でくつろぐイスタンブールの猫たちの姿を見ることができます。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)