兵庫県の最低賃金が1116円に引き上げられたことを知らせるポスター=芦屋市
兵庫県の最低賃金が1116円に引き上げられたことを知らせるポスター=芦屋市

 過去最大の上げ幅となった兵庫県の最低賃金(時給、1116円)が4日から適用された。物価高の中で働く人の暮らしを支える一方、急激な人件費の増加は中小零細企業の経営に重くのしかかる。会社側は経営基盤の強化を急ぐが、パート従業員らを支援する労働組合などからは、シフト減らしなど働く人へのしわ寄せを懸念する声もある。

 「この先、対応できない中小零細は淘汰されかねない」。ビルの清掃などを担う兵庫県内の会社を営む男性はこぼす。

 同社は、建物の管理会社から清掃などビルのメンテナンスを受注し、年間数百件を手がける。時給は勤務期間や経験に応じて異なるが、数十人のパート従業員のうち、およそ半数が2024年度の最低賃金(1052円)で働いていた。25年度の引き上げで、パート従業員への支払いは年換算で約600万円増える見通しだ。