正社員をやめて派遣社員を選んだ理由は? ※画像はイメージです(pain au chocolat/stock.adobe.com)
正社員をやめて派遣社員を選んだ理由は? ※画像はイメージです(pain au chocolat/stock.adobe.com)

派遣社員の約4人に1人が「元正社員」--そんな調査結果が株式会社マイナビ(東京都千代田区)による「派遣社員の意識・就労実態調査(2025年版)」でわかりました。正社員をやめて派遣社員を選んだ理由にはどのようなことがあるのでしょうか。

調査は、派遣社員として勤務する20 ~59 歳の男女1400人を対象として、2025年7月にインターネットで実施されました。

はじめに、「派遣社員として働いていることに対する満足度」を聞いたところ、7割近くが「満足(満足+やや満足)」(69.3%)と回答。その理由としては、「有給休暇や休日を取得しやすい」(33.0%)や「業務の責任が重くないから」(24.5%)が上位に挙がりました。

一方、「不満(不満+やや不満)」(30.7%)と回答した人の理由は、「賞与がない・少ない」(54.9%)や「給与が低い」(48.1%)が多くなりました。

そこで、「派遣社員の平均時給」を調べたところ、「1488円」(2024年比+13円)となり、理想の時給との差は156円と、2024年(175円差)から19円縮小したものの、現実と理想の報酬には依然として乖離があることがわかりました。

続けて、「前職の雇用形態」を聞いたところ、約4人に1人が「正社員」(24.3%)と回答。「派遣社員」になることを選んだ理由としては、「責任が重くないから」(26.2%)や「すぐ仕事に就けるから」(23.5%)といった回答が上位となり、心理的負担の軽減や就業までのスピード感を重視していることがうかがえました。

そこで、前職が「正社員」だった人に対して、「正社員と派遣社員における”ゆとり”の差」を聞いたところ、「経済的なゆとり」(正社員73.3%、派遣社員7.2%)は正社員が高い一方で、「時間的なゆとり」(同14.7%、同55.9%)では派遣社員のほうが高くなりました。

また、「精神的なゆとり」(同29.1%、同40.0%)でも派遣社員のほうが高くなったことから、経済的な側面と、時間的・精神的なゆとりの側面を照らし合わせながら、それぞれの価値観や生活状況に応じた雇用形態を選択していることが示唆されました。

さらに、「今後希望する働き方」を聞いたところ、「派遣社員として働きたい」と答えた人が42.9%と2024年から5.3pt減少したのに対して、「正社員」を希望する人は29.9%と、2024年から3.3ptの増加となっています。

なお、「今後正社員を希望する理由」としては、「賞与(ボーナス)が欲しいから」(69.9%)や「雇用が安定しているから」(57.7%)といった回答のほか、「賃金が高いから」(48.3%)という回答も上位に挙げられました。

次に、「AIの進化によって仕事が減少することへの不安感」を尋ねたところ、派遣社員の35.3%が「不安(不安+どちらかといえば不安)」と回答。職種別では、特に「テレオペ・テレマーケティング」(42.6%)や「オフィスワーク・事務」(42.0%)など定型業務が中心となる職種で不安感が高い傾向が見られました。

一方で、人間的な判断やケアが求められ、定型業務となりづらい「医療・介護・福祉・教育」(26.5%)では相対的に低く、職種によって不安の程度に差が見られます。

また、「仕事の減少に不安を感じている」と答えた派遣社員に、「将来に向けてリスキリングを行っていますか」と聞いたところ、80.2%が「行っていない」と回答し、「行っている」(19.8%)と答えた人は2割に満たず、不安を感じながらも具体的な行動をしている人は限られていることがわかりました。