自分のペットが「いま何を考えているのだろう」「対話してみたい」と思ったことがある人も多いでしょう。板垣巴留さんの作品『タイカの理性』は、少子化対策の一環としてペットがヒト化される世界を描いた物語です。X(旧Twitter)に『盲導犬がヒト化した世界の話』として紹介されると、約8.4万もの「いいね」を集め大きな話題となりました。
盲導犬のタロは、全盲の主人と共にいつも同じ映画を観ていました。タロ自身もその穏やかな時間を気に入っていましたが、ある日目を覚ますと『ヒト化』させられていたのです。
タロはヒト化施設を飛び出し、主人に「なぜ勝手にヒト化させたのか」と問いただします。主人は「タロには自由のない可哀想な生活をさせていた」と話しますが、タロは「盲導犬としての生活のほうが幸せだった」と訴え、家を飛び出してしまいました。
その後タロはパチンコに挑戦してみますが、イヌの聴覚には刺激が強すぎました。たどり着いたのは、いつも主人と散歩していた公園のベンチ。目を閉じて耳を澄ますと、周囲からさまざまな声が聞こえてきます。「目の見えないジジイ(主人)は、いったいどれだけ陰口を耳にしてきたんだろう」とタロは考えました。
涙ぐみながら毎日見ていたスパイ映画を思い出していると、背後から自分を呼ぶ声がします。なんと、主人が1人でベンチまでやって来たのです。主人はタロを大切に思うあまり、タロの本当の気持ちに気付いていませんでした。
そしてタロは「ジジイ歩くな!俺が支える!俺の仕事だ!!」と駆け寄っていったのです。
その後、2人は一緒に映画館に行きました。初めて観る新しい映画に、主人は「これからはお前の感想も聞かせてくれ」と微笑むのでした。
同作に対し、SNS上では「涙腺崩壊した」「良い話やわ…」など絶賛の声が相次いでいます。そこで作者の板垣巴留さんに話を聞きました。
■タロはちょっと頑固者?
-現代日本において、ペットがヒト化した世界を描こうと思ったきっかけを教えてください。
ペットを持つ人の方が増えてきて、ペットとヒトの境界線が曖昧になってるのが面白いと思ったからです。
-ヒト化前のタロはどのような性格だったと想像しますか。
極めて優秀な盲導犬だったと思います。ちょっと頑固そうですけど。
-最後に、伝えたいことなどありましたらお願いいたします。
この機会にぜひ、『タイカの理性』を手に取ってほしいです。
(海川 まこと/漫画収集家)
























