普段は街歩きや再開発の工事現場の様子を投稿/けんたろうさん(@ken_ta_rou)提供
普段は街歩きや再開発の工事現場の様子を投稿/けんたろうさん(@ken_ta_rou)提供

大阪・うめきた再開発エリアで建設が進む高級タワーマンション「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」の工事現場に設置された、ユニークな看板が話題になっています。搬入口に掲げられていたのは、「ぶたまん」「串かつ」と名付けられた看板。「最高価格25億円」とされる高級レジデンスの建設現場と、大阪名物にちなんだ“コテコテな名前”とのギャップに、多くの注目が集まっています。

投稿したのは、まちあるきや都市開発の様子、おいしいものなどをSNSで発信しているけんたろうさん(@ken_ta_rou)です。

けんたろうさんがこの写真を撮影したのは、外出帰りに再開発地区を歩いていた時でした。

「都市開発や建設工事などを見て歩き、様子を投稿することを趣味にしています。この日も帰宅途中に寄り道をしていて発見しました」

撮影場所は、グラングリーン大阪の最北端部に建設中のタワーマンション工事現場の西側(グランフロント大阪とは反対側)。鉄骨と仮囲いが並ぶ無機質な風景の中に、黄色いプレートに大きくひらがなで「ぶたまん」と書かれた看板が掲げられており、工事現場ではまず見かけない言葉に思わず目が止まったといいます。

「ぶたまん」「串かつ」といった名前がなぜ付けられているのかを聞くと、建設現場ならではの視点で推測を語ってくれました。

「第一ゲート」「第二ゲート」と番号で呼ぶよりも、『このトラックは「ぶたまん」から搬入』と伝えた方が、現場の人たちにとって覚えやすく、間違いも起きにくいのではないか--。そんな実務的な工夫に、少しユーモアを加えた名前なのだろうと感じたといいます。

なお、こうした搬入口はあくまで工事中だけ使われる仮設設備で、高級レジデンスが完成すれば撤去される予定。入居者が目にすることはほとんどない、“現場限定”の名称とのことです。

自身はこの名称をどう捉えたのかを改めて尋ねると、少し笑いながらこう話しました。

「ミス防止対策の中にもユーモアを交えていて個人的には好感が持てました。しかし搬入口にまでコテコテの名称を付けなくても、という意見もあるだろうな、とも思いました」

工事現場を歩き慣れているけんたろうさんでも、ここまでユニークな名前はあまり見たことがないそうです。

「工事現場のクレーンに親しみやすい名前が付けられているのはよく目にするようになりましたね。そういうことにも注目して工事現場を歩いてみると、新たな発見があるかもしれません」

現場の進捗についてもよく観察していて、開発の今とこれからを丁寧に教えてくれました。

「現在は高層部分の建設がほぼ完了し、エントランスとなる低層部や、公開空地となるガーデンの整備が進んでいます。また、すぐそばには都市計画道路が開通する予定で、阪急中津駅とうめきたエリアのアクセスが大きく改善される見込みです。こうした再開発の影響で、周辺の地価も上昇しているといいます」

投稿には、「これは面白い!」「さすが大阪」といった声のほか、「串カツは2度入り禁止」と、大阪名物のルールになぞらえたコメントも寄せられました。

■「一目見れば伝わるように」事務員さんが発案

今回投稿された写真の看板について、「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」の工事を手掛ける株式会社竹中工務店に話を聞きました。これらの搬入口の看板設置は竹中工務店が担当しており、名称は事務員さんの発案だったそうです。

「うめきた工事の最盛期には、うめきたの中に『西1ゲート』が複数あり、搬入ドライバーさんから『どこの西1ゲートに行けばいいですか?』という問合せ電話が絶えないんです。そこで、一目見れば伝わる(一度見たら忘れない)インパクトのあるシンボルとなるよう、事務員が名付けました」