妻と娘の冷たい瞳 (C) 淘田きょむ/COMISMA INC.
妻と娘の冷たい瞳 (C) 淘田きょむ/COMISMA INC.

やめたくてもやめられないギャンブル。漫画家・淘田きょむさんが描く『量販トイスクラップー売る人と買う人の話ー』は、家電量販店の玩具売り場で働く主人公を軸に、“売る人と買う人”それぞれの人生模様を描く物語です。そのなかの一篇『第20話 マルマルパンスロット₋まだ舞える₋』からの抜粋エピソードがX(旧Twitter)に投稿されると、多くの人から注目を集めました。

趣味がパチスロの中年男性は、その日も没頭し財布が空っぽになってしまいます。落胆して帰ると、冷たい視線で男性を見つめる妻とその娘が立っていました。

男性は娘から「お父さんスロット禁止!!」と叱られ、妻からは「娘と孫を連れて出ていってやろうか!?」と厳しい言葉を投げかけられます。

実は、男性は仕事中に足をけがをして休職中でした。やむなく自宅待機となった男性はパチスロで時間つぶしをするように。やがて夢中になってしまい、家族から非難されていたのでした。

そんなある日の夕方、帰宅した娘が目にしたのは、孫と共に玩具のスロットで遊ぶ父の姿です。あきれる娘をよそに、妻は「パチスロに行かなかった日数で景品交換をする」と提案します。3日目は「ビール」、7日目は「優しさ」、1カ月後は「お祝い」という景品を目指し、男性のパチスロ禁止生活が始まりました。

玩具のスロットでは物足りない男性の脳裏に「ちょっとなら…」という誘惑がよぎります。しかし、孫の無垢な「えらいねぇ」というひと言や、妻からパチスロに行かず孫の面倒を見ていることに対する感謝の言葉を言われることで、何とか踏みとどまります。

しかしある日、コンビニで偶然パチスロ仲間に会い、男性の気持ちが大きく揺れます。パチスロ仲間は男性に、大当たりが出る可能性が高そうな台を譲ってもいいと誘うのでした。

男性は家族との約束を守り、パチスロへの誘惑に打ち勝つことができるのでしょうか。気になる続きは、GANMA!アプリで読むことができます。

読者からは「続きが気になり過ぎる」や「すごくリアル...」などの声が上がっています。作者の淘田きょむさんに、同作について話を聞きました。

■「玩具を買った・買ってもらった」思い出を反芻するきっかけになれば理想

-同作のきっかけを教えてください。

どの玩具を題材にするか悩んで調べていた際、某有名幼児向け作品のスロット玩具を見かけたことがきっかけです。当初は、価格が高騰して転売されている商品として扱う予定でしたが、「生活の中に混ぜ込む形で描きたい」と考え、このような物語になりました。

- 同作が含まれる『量販トイスクラップー売る人と買う人の話ー』は、どのような作品ですか。

量販店で販売されている玩具は、どの商品であっても、誰かの人生の一部になる可能性があります。本作は、そんな玩具に関わる「売る人」と「買う人」それぞれの物語です。

商品を手に取るきっかけや使い方は人それぞれですが、「欲しい」と思って買いに行く気持ちは共通しています。時には店員の視点からお客様の背景を想像し、また時にはお客様の視点から店員を見つめる。そうした何気ない日常の光景を、ドラマとして楽しんでいただけたらうれしいです。

-作品制作で心掛けている点を教えてください。

読者の方が「玩具を買った・買ってもらった」思い出を反芻するきっかけになれば理想だと思っています。誰かの人生の一端を「玩具」を通して想像できるのは、とても楽しく、ドラマを感じられることだと考えています。

そして、この漫画に興味を持ってくださった方は、少なからずそうした背景やドラマを、幼少期だったり現在だったりで思い出を抱えて日々を過ごしていると思います。

「自分のときはこうだった」「自分ならどうするだろう」と、そんなふうに読者の方自身の記憶を振り返られるような空気感を作れるよう心掛けていました。

(海川 まこと/漫画収集家)