本記事では、車庫飛ばしの定義や車庫法違反と見なされた場合の罰則、車庫飛ばしが意図的に行われる理由や、実家や引越しなどで意図せず車庫飛ばしとなりやすいケース、車庫飛ばしの検挙はある(ばれる)のか、車庫飛ばしにならないための対策を解説しています。
■車庫飛ばしとは?
車庫飛ばしとは、使用の本拠地や駐車先について、実際とは異なる位置等を虚偽申請し、車庫証明書を取得することを指します。
また、車庫証明書に記載の場所と異なる位置で車を保管する行為も含まれることが多いです。車庫飛ばしは一般に違法行為とみなされ、発覚すれば罰金が科される可能性があります。さらに、悪質性が高いケースでは刑法が適用されることもあります。
■車庫飛ばしは違法?罰則は?
冒頭で記載したように、車庫飛ばしは違法行為とみなされることが多いです。ここでは、その違法性と罰則について解説します。
▽車庫飛ばしは一般に「車庫法違反」
「自動車の保管場所の確保等に関する法律(通称:車庫法)」では、自動車の使用者に対して、以下の義務を課しています。
・車の保管場所の確保(第三条)
・保管場所を確保した際の申請・届出(第四条・第五条)
・保管場所を変更した場合の届出(第七条)
また、同法第十七条では、虚偽の書面提出や届出義務違反に関する罰則が定められており、この点からも、車庫飛ばしは一般に車庫法違反と考えられています。
▽罰則は一般に「10~20万円の罰金」
車庫飛ばしで車庫法違反と見なされた場合、罰則は罰金刑となることが多いですが、具体的な罰則は違反内容によって異なります。
・違反内容・罪名:虚偽の書面の提出
・罰則:20万円以下の罰金
・違反内容・罪名:保管場所の不届け/虚偽の届出
・罰則:10万円以下の罰金
・違反内容・罪名:道路上での車の保管
・罰則:3カ月以下の懲役又は20万円以下の罰金、違反点数3点
・違反内容・罪名:道路における長時間駐車
・罰則:20万円以下の罰金、違反点数2点
車庫証明書の取得時に実際と異なる保管場所等を申請した場合は、20万円以下の罰金の可能性があります。一方、引越し後の届出忘れなどは、10万円以下の罰金の可能性があります。
なお「車を道路上に長時間放置する」など道路交通法の駐停車違反等にも該当する場合は、違反点数や、場合によっては反則金が科されることもあります。
▽罰則がより重くなるケースもある
車庫証明の申請にあたり、「故意に虚偽の内容を申告し、それを記載した証明書を作成させた」と認められる場合には、刑法の公正証書原本不実記載等罪に問われる可能性があります。
この罪が成立した場合の法定刑は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
▽故意に車庫飛ばしが行われる理由
車庫飛ばしをする人の中には、意図的に保管場所等を虚偽申請する人がいます。その主な理由は、以下の4つです。
・駐車場代を安くするため
・多数の車を所有するため
・ディーゼル規制を逃れるため
・他地域のナンバーを取得するため
▽駐車場代を安くするため
車の保管場所には「使用の本拠地から2km以内」というルールがあり、たとえば都心部に本拠地があると、契約駐車場の料金が高額になることも多いです。
そこで、申請上は本拠地から2km以内の駐車場を保管場所として申請しながら、実際には地価の安い離れた場所で車を保管しようとするケースがあります。
▽多数の車を所有するため
車庫飛ばしを行う人の中には、「駐車スペースが足りないけど新しい車を取得した」として、実際の収容能力を超えた内容で車庫証明を申請するケースがあります。
このケースでは、実際には使用権のない空き地や、道路上などを事実上の保管場所として利用してしまう人もいます。
▽ディーゼル規制を逃れるため
東京都や神奈川県などの一部地域では、排出ガス規制に適合しないディーゼル車の走行を制限する条例が定められています。
この規制から逃れるために、規制地域外に使用の本拠地や保管場所があると虚偽の申告をし、車庫証明書を申請するケースがあります。
▽他地域のナンバーを取得するため
ナンバープレートは、原則として使用の本拠地がある地域のものが交付されます。しかし、「品川ナンバーに憧れる」「ご当地ナンバーの限定プレートを付けたい」といった理由から、使用の本拠地や保管場所を偽って車庫証明書を申請する人がいます。
■意図せず車庫飛ばしになり得るケース
車庫飛ばしは意図的に行われるケースもありますが、「知らないうちに車庫飛ばしをしていた」という例も少なくありません。代表的なケースは、以下の4つです。
・引越し後の手続き忘れ
・譲渡後の手続き忘れ
・実家での登録
・軽自動車の届出忘れ
▽引越し後の手続き忘れ
引越しをした場合は、原則として車庫証明書の変更が必要です。車の保管場所は「使用の本拠地から2km以内」というルールがあるため、本拠地や保管場所が変わると、基本的には内容変更が求められます。
さらに、管轄の運輸支局等が変わる場合はナンバープレートの変更も必要で、手続きを行わずにいると車庫飛ばしを指摘される可能性が高まります。
▽譲渡後の手続き忘れ
親族などから車を譲渡してもらった場合、名義変更をせずに乗り続けてしまうケースも少なくありません。
同じ家に住む親子間の譲渡で車の保管場所も変わらなければ、車庫飛ばしを指摘される可能性は低いです。一方、違う場所に住む親族から車を譲渡してもらった場合は車庫証明書や車検証の変更手続きが必要です。
▽実家での登録
実家を保管場所として登録するケースも、車庫飛ばしになりやすい事例の一つです。
たとえば「まだ駐車場を契約していなかったので、とりあえず実家を保管場所に設定した」という場合、駐車場を確保した後も保管場所の変更手続きを忘れがちです。また、実家から引っ越した後に変更手続きを忘れてしまう可能性もあります。
ただし、住まい(使用の本拠地)と実家が直線距離2km以内にあり、かつ実際に実家で車を保管している場合は、車庫飛ばしに該当する可能性が低いです。
▽軽自動車の届出忘れ
軽自動車では「車庫証明書が不要な場合が多い」といわれますが、車庫証明書が不要でも「保管場所届出」が必要となるケースが少なくありません。
保管場所届出とは、車庫証明書と同じく車の保管場所を警察に届け出る手続きです。引越しや保管場所を変更した場合、地域によって届出が必要であり、怠れば車庫飛ばしを指摘される可能性があります。
■車庫飛ばしは「ばれる」?
車庫飛ばしは見つかりにくいことも多いですが、取り締まりや通報で発覚する可能性もあります。
▽車庫飛ばしによる検挙はある
警察庁によると、令和5年には車庫飛ばしによる検挙が23件ありました。毎年少数でも検挙されている人はいます。
▽きっかけ(1)交通違反/事故/職務質問
交通違反や事故、職務質問などをきっかけに車検証の確認が行われた場合、車検証の記載内容と実際の使用状況にズレがあると、車庫飛ばしが発覚するケースがあります。
▽きっかけ(2)近隣住民からの通報
別の地域のナンバープレートを装着している場合などに、近隣住民から警察に通報が入る場合もあります。特に、道路上の駐車など違反行為を行っている場合は、その苦情をきっかけに車庫飛ばしが発覚することもあります。
■車庫飛ばしにならないための対策は?
ここでは、意図せず車庫飛ばしにならないための基本的な対策と注意点を解説します。
▽車庫証明の正しい申請が基本
大原則は、きちんと車庫証明の申請を行い、「使用の本拠地」「保管場所」を正しく記載することです。実際に車を使用する場所、車を停める場所を偽りなく申請してください。
「保管場所が本拠地から2kmを超えて離れている」など、万が一保管場所の条件が車庫法に合っていない場合も、担当者が確認段階で受理できないことを教えてくれます。
▽車庫証明書の取得方法
車庫証明書は、車の販売店や行政書士に依頼して取得することもできますが、個人での取得も可能です。基本的な手順は、以下の通りです。
・申請書類の入手
・申請書類の作成
・申請書類と申請手数料を提出
・車庫証明書の受け取り(申請後数日~1週間)
申請手続きと車庫証明書の受け取りは、どちらも警察署で行います。手順の詳細や必要な持ち物、書類の記載方法については、以下の記事を参考にしてください。
▽【重要】手続きは「15日以内」に行う
引越しなどを行って使用の本拠地や車の保管場所が変わる場合、手続きは「変更が生じてから15日以内に行う」のが原則です。車庫証明書に限らず、車検証の内容変更でも期限が15日以内となっています。
15日以内に行わないと「不届け」と判断される可能性がありますが、うっかり忘れていた場合もすぐに罰則が科されるとは限りません。忘れていた場合は素直に申告しましょう。
▽【注意】軽自動車も届出の確認をする
軽自動車は、車庫証明書の取得が不要な地域が多いです。ただし、地域によっては保管場所の届出が必要です。
「軽自動車だから何もしなくてよい」と思わず、必ず自治体などに届出の要否を確認してください。
■他の手続きも漏れがないか確認を
車庫証明書の申請や変更手続きが必要なタイミングでは、車検証や免許証の変更手続き、駐車場の契約手続きなどが必要になるケースも多いです。以下の記事を参考に、他の手続き漏れがないか確認してください。
(まいどなニュース/norico)
























