「うちの子、来年入学なのに…まさか特別支援学級を勧められるとは」。佐藤さん(仮名・女性)が面談後に帰り道で涙をこらえたのは、子どもの将来への不安からでした。しかし、のちに就学相談を通じて、わが子に合った少人数の環境を選んだことで、子どもは学校が大好きになったといいます。「最初から通常の学級一択だと思い込んでいたのは、私だったのかもしれない」と話してくれました。
特別支援学級の在籍児童生徒数は2024年5月時点で小・中学校合わせて約39.5万人に達し、10年前の2倍近くに増えています。その一方で、発達障害の可能性を感じながらも制度をよく知らない保護者は少なくありません。今回は就学相談の流れ、学びの場の違い、費用と補助の仕組みを具体的に整理します。
■就学相談の流れ
就学相談は、就学先を決めるためのサポートプロセスです。具体的な流れは自治体によって異なりますが、一般的にはまず市区町村の教育委員会の窓口に申し込み、次に医療・心理・教育の専門家による観察や検査を受けます。そして就学支援委員会が総合的な意見をまとめ、最後に保護者・本人の意向を踏まえて就学先を決定します。
重要なのは最後のステップです。就学先は市区町村教育委員会が決定しますが、2013年の学校教育法施行令改正以降は、本人・保護者の意向を可能な限り尊重することが求められています。支援委員会の意見は重要な参考資料ですが、保護者の希望と調整しながら決定されます。 「勧められたから従わなければいけない」ということはありません。
■特別支援学級と通級の違い
特別支援学級は、在籍クラス自体が支援学級となります。1学級の上限は8人と少人数で、障害の状態に合わせて一人ひとりに合わせた教育が行われます。交流学習として通常の学級で授業を受けることも可能です。
一方、通級による指導は、通常の学級が在籍クラスです。週に数時間だけ「通級指導教室」に通い、コミュニケーションや感情コントロールなど個別の課題に特化した指導を受けます。2022年度の文部科学省調査によると、通級を利用する児童生徒は約19万8000人に上ります。
支援の濃淡に応じて選択でき、定期的な見直しや状況に応じた変更の相談が可能です。個別の教育支援計画や指導計画が作成され、家庭・学校・医療が連携するケースが多いです。
■放課後等デイサービスの費用と補助
就学後に多くの保護者が活用するのが、「放課後等デイサービス(放デイ)」です。原則として、小学校・中学校・高等学校などに通う障害のある子どもが放課後や長期休暇中に利用し、日常生活訓練や学習支援を受けられるサービスです。
費用は国・自治体が9割を負担し、保護者の自己負担は原則1割です。さらに、世帯の所得に応じて月額の上限が定められています。生活保護世帯・市町村民税非課税世帯は0円、市町村民税課税世帯のうち所得割28万円未満の世帯は通所サービスで月額4600円、それ以外の世帯は月額3万7200円が上限です。なお、一般的には年収約890万円以下の世帯が、月額上限4600円の目安とされています。複数の事業所を利用しても、世帯ごとの上限額は変わりません。
利用するには市区町村が発行する「受給者証」の取得が必要です。申請から取得まで1~2カ月かかる場合があるため、早めに動くことをおすすめします。なお、おやつ代や交通費など一部の費用は別途実費負担となる場合があります。
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「通常の学級と比べて将来が心配」という声をよく聞きます。しかし、特別支援学級に在籍しながら通常の学級での交流学習も受けられますし、中学卒業後の進路は高校・専門学校・大学への進学も開かれています。また、「一度入ったら戻れないの?」という疑問もよくありますが、子どもの成長や状況に応じて、通常の学級への転籍や通級への変更の相談も可能です。さらに、「診断がなくても就学相談できる?」という点についても、医師の診断がなくても相談は可能です。「もしかして?」と感じた段階で教育委員会の窓口に問い合わせてください。
大切なのは、制度を「排除の仕組み」ではなく「子どもに合った環境を選ぶ手段」として捉えることです。保護者が正確な情報を持つことが、わが子に最善の環境を整える第一歩になります。
【出典】
内閣府「令和7年版障害者白書」(2024年5月1日現在のデータ)
文部科学省「令和4年度(2022年度)通級による指導実施状況調査」
文部科学省「2024年9月公表 特別支援教育に関する調査結果」(通級指導在籍19万8343人)
厚生労働省「障害児通所支援等利用者負担認定の手引き」(令和7年)
【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症2型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。
(まいどなニュース/もくもくライターズ)























