我が子が”不登校”になってしまった時にできることとは?(buritora/stock.adobe.com)
我が子が”不登校”になってしまった時にできることとは?(buritora/stock.adobe.com)

「小学4年生になった息子が、最近学校に行きたがりません。はっきりとした原因は分かりませんが、新しいクラスになじめないようで、昨日は行くと言っていたけれど、次の日の朝になったら行かないということも増えてきました。また担任の先生には、昨日電話で『あと8日ほどお休みがあると不登校として記録されます』と、突然伝えられ、自分の息子が「不登校児」として扱われるようになるとは夢にも思わず、とても戸惑ってしまいました。明るくて優しい息子がまさかこんな状態になるなんて…」

そう語るのは、40代女性の岸本京子さん(仮名)です。小学4年生になった息子さんはゴールデンウィーク明けの5月中頃から突然「今日は学校に行きたくない」という日が増えました。

息子さんに行きたくない理由を聞いても、明瞭な返事はかえってこないといいます。

なんとか京子さんは学校に連れて行こうとしましたが、泣いて拒否する息子さんの姿を見ては心が痛み、学校に行かせたり休ませたりの五月雨登校の状態のようです。

このように、新学期後に子どもが学校に行きたがらないケースは珍しくありません。もし子どもが学校に行きたがらなくなり不登校になってしまったら、保護者としてできることはあるのでしょうか。

■不登校の基準とは?

文部科学省では、不登校の基準を「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています。

これはあくまで国の統計調査上の基準であり、「年間30日未満なら不登校ではない」「病気や経済的な理由による長期欠席であるから支援の対象外」という意味ではありません。実際には、欠席日数にかかわらず、子どもが学校に行きづらさを感じている場合、学校や教育委員会、教育支援センターなどに早めに相談することで、適切な支援を受けられる可能性があります。

■出席扱いにできる仕組みとは?

文部科学省の通知では、小中学生が学校外(自宅、フリースクール、教育支援センター等)でオンライン学習(ICT)や相談指導を受けた場合、一定の要件を満たし、校長が適切と判断すれば、指導要録上「出席扱い」とすることができるとされています。これは一律に適用される制度ではなく、最終的には学校長の判断によるものです。目的は「登校の再開」だけにとらわれず、子どもの社会的自立を支援することにあります。

出席扱いとされることで、学習の継続が評価され、進学時の調査書作成の際に考慮される可能性があります。また、学校外で安心して学べる場や相談できる場があることで、子どもが自分のペースで学習を続け、自己肯定感を取り戻すきっかけになることもあります。

文部科学省が定めている不登校の出席扱いの一定の要件とは、下記の4点です。

1.学校・保護者間の連携:保護者と学校との間に、十分な協力体制が築かれていること。

2.適切な施設の選定:教育支援センター等の公的機関を原則とする。ただし、公的機関への通所が困難な場合などは、校長が教育委員会と連携して判断した上で、民間施設も認められる。

3.指導の形態と連携:当該施設へ実際に通所(または入所)して相談・指導を受けることを前提とする。ただし、ICTを活用した学習活動は、学習状況の把握等を前提に、自宅での実施も出席扱いとして認められる。

4.学習評価とフィードバック:施設での学習内容が学校の教育課程に照らして適切であれば、その成果を指導要録に記載したり、通知表等で本人・保護者へ伝えたりして、自立支援に役立てること。

◇教育支援センター(旧:適応指導教室)への通学-公的機関が運営

不登校の児童が、学校以外で勉学や集団生活を営むことによって、学校への登校復帰や社会的自立を促すことを目的とします。
教育支援センターは、自治体の教育委員会が運営しており、基本的に費用が発生することはありません。

◇フリースクールへの通学-民間団体が運営

不登校の児童に対して、学校以外に居場所を作ることで、安心できる環境や自己肯定感の回復を促すことを目的とします。学校への登校復帰を強要することはなく、安心できる居場所の提供が基本目的です。

フリースクールは、民間団体が運営しており、費用が発生します。文部科学省の調査(令和3年度「不登校児童生徒の実態把握に関する調査」)によると、フリースクール等民間施設を利用している保護者が負担する月額費用は、「3万円以上」が最も多く33.3%、次いで「1万円以上3万円未満」が30.4%となっています。その他、入会金や教材代やイベント費用などがかかることがありますが、これらは利用施設によってかなり幅があるようです。

◇オンライン授業の受講(ICT)-自宅で受講可能

不登校の児童が、自宅でパソコンやタブレット等でのオンライン学習(ICT)を活用して学習することができます。
オンライン学習の費用は、月額数千円~1万円台のオンライン教材から、月数万円のオンライン個別指導まで幅広く、教材によって異なります。

■自治体による補助金制度や就学援助

学校に登校できないことにより発生する費用を補助する制度もあります。自治体独自のものも多く、確認が必要です。

◇フリースクール等利用料助成制度

不登校児童がフリースクール等を利用している場合に、月々の利用費用の一部を自治体が補助する制度です。
たとえば東京都では、都内在住の不登校児童生徒がフリースクール等の民間施設を利用する場合、月額2万円を上限に利用料を助成する制度があります(所得制限あり)。
このような助成制度を設けている自治体は徐々に増えつつあります。お住まいの市区町村の教育委員会への確認がおすすめです。

◇就学援助制度との関係

就学援助制度は、経済的な理由で就学が困難な保護者に対し、義務教育にかかる費用(学用品費、給食費など)を補助する制度です。
東京都の例では、ランドセルや標準服の入学準備金、筆記具や内履きなどの年間購入費、学校給食費の実費など、この他にも多くの就学に必要な費用が補助されます。

なお、この制度による援助金は、原則としてフリースクール等の利用料に直接充当することはできません。詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。

■費用も含めて「我が子に合った学びの場」を探す

岸本さんは、学校に登校することだけが出席扱いになるわけではないと知り、教育支援センターやフリースクールの情報を集めはじめました。教育支援センターは自治体が運営しているので基本的に無料で利用できるほか、月に3万円前後の費用が発生するフリースクールについても、助成制度が使えないか教育委員会に問い合わせています。まずは学校以外に、息子さんにとって安心できる居場所を作ってあげたいという思いもあるようです。

「多様な社会になった今、学校に行かなくても、様々な選択肢があると知り、少し安心しました。息子には、自分のペースで学んでほしいと思います」
そう話す岸本さんは、どこか前向きな表情に見えました。

不登校の子どもの学びの場には、教育支援センター、フリースクール、オンライン学習など複数の選択肢があります。教育支援センターは公的機関のため原則無料で利用できる場合が多い一方、フリースクールやオンライン教材は費用がかかることが一般的です。自治体によっては助成制度がある場合もあるため、まずはお住まいの市区町村の教育委員会や学校に相談してみることをおすすめします。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)
社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症2型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。 

(まいどなニュース/もくもくライターズ)