心身の異変を感じても「我慢して働き続けた」人が半数超--そんな調査結果が、株式会社Smart相談室(東京都港区)による「メンタル不調による休職・退職者」に関する実態調査でわかりました。調査では、異変を感じながらも我慢を続け、限界を迎えてしまう痛切な実態と、職場の相談窓口が機能しにくい背景が浮かび上がっています。
調査は、直近3年以内(緩和条件:5年以内)に、メンタル面の不調(ストレス・うつ症状・適応障害など)が主な原因で休職または退職した経験がある会社員413人を対象として、2026年3月にインターネットで実施されました。
まず、メンタル不調に陥った主な原因を尋ねたところ、「仕事のプレッシャー・難しさ」(32.2%)、「上司との関係・ハラスメント」(23.5%)、「業務量の多さ」(23.0%)が上位に挙がり、過度な業務負荷やプレッシャーだけでなく、上司との人間関係やハラスメントといった「職場環境」が大きな引き金になっていることが明らかとなりました。
また、「心身の異変を感じ始めてから、実際に休職/退職に至るまでの期間」については、「3~6カ月程度」(21.8%)や「6カ月~1年程度」(17.9%)など、「3カ月以上」と回答した人が全体の半数以上(51.8%)を占めました。
そこで、「不調の段階ごとにとった行動」を見ていくと、初期段階では34.8%が「特に何もせず、我慢して働き続けた」と回答。
さらに、自らいよいよ限界だと感じた段階(限界フェーズ)においては、「社外の医療機関(心療内科・メンタルクリニック等)を受診した」(34.0%)が最多となったものの、24.7%が「我慢して働き続けた」と答えており、周囲にSOSを出せず、一人で抱え込んだまま症状を悪化させている様子がうかがえます。
また、全体の8割以上が、休職・退職に至る前に「仕事のパフォーマンスに影響があった」(83.5%)と回答。
具体的には、「集中力が低下し、業務を終えるのに時間がかかった」(48.1%)、「ミスや確認漏れが増えた」(44.5%)、「思考力や判断力が鈍り、適切な対応ができなかった」(40.9%)が上位に挙がりました。
なぜ、これほど多くの人が限界まで追い詰められてしまうのでしょうか。背景には、職場への相談に対する強い抵抗感があるといいます。
「職場にメンタル面の不調を相談・報告することに、心理的な抵抗感はありましたか」と尋ねたところ、実に65.8%の人が、「職場への相談や報告に抵抗感があった」と答えました。
「抵抗感があった理由」として最も多かったのは、「相談しても、状況が変わらないと思った」(49.6%)という組織への諦めです。次いで「自分の評価や今後のキャリアに悪影響が出ると思った」(39.3%)が続いており、不利益を被ることへの恐怖がブレーキになっていることがわかります。
最後に「休職や退職を防ぐために、職場にどのような支援や環境があればよかったと思いますか」と尋ねたところ、「業務量や配置転換の早期の調整」(34.4%)、「初期段階で上司や同僚が変化に気づいてくれる環境」(31.5%)、「初期段階で気軽に相談できる窓口」(30.5%)が上位に挙がり、環境整備に加え、不調の初期段階に気軽に安心して相談できる利害関係のない社外の相談窓口の必要性が高まっていることが浮き彫りとなりました。
自身のメンタル不調を社内の上司や人事に相談することは「評価への影響」や「諦め」から本音を話しにくいのが現実です。
企業が休職・退職者を減らすためには、日頃から変化に気づけるマネジメント体制を整えるとともに、社内利害から切り離された「いつでも気軽に、安心して本音を吐き出せる外部相談窓口」などの仕組みづくりが急務と言えそうです。























