第61期王位戦
木村一基王位(47)に藤井聡太棋聖(18)が挑戦している将棋の第61期王位戦7番勝負(神戸新聞社主催)。8月4、5日に指される第3局の会場「中の坊瑞苑(ずいえん)」(神戸市北区)は、1982年からほぼ毎年、対局の場として利用されてきた有馬温泉の老舗旅館だ。初タイトルを最年長と最年少で獲得した2人の対局を、静かに見守る。(井原尚基)
中の坊瑞苑は1868(明治元)年創業。落ち着いた雰囲気を保つため、普段から13歳未満は入館できないといった格式を誇る。
これまで中原誠16世名人、谷川浩司九段、羽生善治九段らが激闘を繰り広げてきた。藤井棋聖には初めての地だが、木村王位はこれまで王位戦で4度訪れた。昨年は、通常の2倍以上の手数となる285手で豊島将之王位(当時)を下し、王位奪取につなげた。
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王位戦担当3年目のスタッフ増垣恵さん(31)によると、最も気を配るのは、静かで落ち着いた環境の維持という。事前に、客室入り口のチャイムや室内の電話機から音が鳴らないようにし、ドアを開閉する際も音が出ないようにする。おやつを運ぶ際も腕時計を外すなど工夫する。
対局中は厳しい表情を見せる棋士も、食事やおやつの注文を尋ねるときは優しく答えてくれる。「トッププロも普通の人なんや、と思う」と増垣さん。
対局者が昼食でしばしば注文する肉うどん(2530円)は、神戸牛の肩ロースや兵庫県産の小麦「ふくほのか」を使用。谷川九段の好物としても知られ、食堂のメニューに書かれていないが、ネットなどで人気になり、宿泊する際に注文する客もいるという。
対局当日は、一般の宿泊客と対局者が接触できる機会はないが、藤井棋聖が挑戦者となることが決まった直後、一般客から対局日の宿泊予約が入ったという。
旅館を気に入った対局者が後日、家族連れで訪れたことがあるという。増垣さんは「万全の体制でおもてなししたい」と気を引き締め「対局した2人が、後日、プライベートな旅行でも訪れてもらえたらうれしいですね」と期待を寄せる。
2020/7/29-
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