第61期王位戦
木村一基王位と藤井聡太棋聖。両棋士の魅力が、それぞれ1冊の本にまとめられている。担当記者の綿密な取材で人物像や将棋観を浮き彫りに。知られていないエピソードも盛り込まれ、読めば王位戦をより楽しめること請け合いだ。(溝田幸弘、井原尚基)
■「百折不撓の木村」あらわに
木村王位の初戴冠までの長い道のりは、東京新聞の樋口薫記者が「受け師の道 百折不撓の棋士・木村一基」で詳細に記す。
23歳9カ月でプロ入りし、46歳3カ月で初タイトルを勝ち取るまで何度も苦汁をなめた。開幕3連勝からまさかの4連敗を喫した第50期王位戦。最終局を落とし、終局後に声を詰まらせ天を仰いだ第57期王位戦…。
何を感じ考えたのか、絶望のどん底からどう立ち上がったのか。木村王位は率直に明かす。親友の行方尚史九段や野月浩貴八段、研究会仲間の佐藤天彦九段らの声も集め、“百折不撓の男”の姿をあらわにする。
今年1月にあった王位獲得記念トークショーの模様も収録。持ち前の軽妙なトークを楽しめる。東京新聞刊。1540円。
■藤井の29連勝舞台裏克明に
「頂(いただき)へ 藤井聡太を生んだもの」は、奨励会三段に昇段した2015年秋から藤井棋聖を追い続ける中日新聞・岡村淳司記者による著作だ。
将棋に興味を持つきっかけを与えた祖母からは、線路を行き交う電車を1時間も眺め続けていた幼児期のエピソードを引き出す。終盤はめっぽう強いのに序盤は別人のように苦手だったと証言するのは、7歳で入った東海研修会の世話役だ。
加藤一二三・九段とのデビュー戦(16年12月)に始まる29連勝や、初黒星を喫した佐々木勇気七段との対局(17年7月)の舞台裏も克明に記録している。
ページを費やすのは、藤井棋聖に名人を超える棋士になってほしいという地元棋界関係者の熱意。筆者も同じ思いであることが行間から伝わる。中日新聞社刊。1320円。
2020/8/1-
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