被災地経済の復旧から復興を目指して国が認定した「復興特定事業」。官民協調で進める事業は、深刻な不況の逆風の中にある。主なプロジェクトの現状、課題は-。
■上海・長江交易促進プロジェクト
中国・長江中下流域の都市との交流を通して被災地の経済復興を進める。神戸市の武漢事務所が開設された。中国サイドも来春までに神戸市内に窓口を置く方針で、武漢など数市も検討中。中国関連企業の集積を目指す「新たな中国人街」構想があるが、民間ベースの経済交流には時間がかかりそう。
■ヘルスケアパーク
震災の経験を生かし「生命の尊さ」を実感できる屋内型テーマパーク。二〇〇二年春、神戸市東部新都心で開業を目指す。昨年七月、県を中心に事業主体となる第三セクターが発足。事業費は三百六十億円。
■神戸医療産業都市構想
ポートアイランド2期を中心に高度医療技術の研究開発と関連企業の集積を目指す。神戸市が呼び掛け、国内外の二百八十法人でつくる研究会が発足した。映像医学センターの実現へワーキンググループが発足。中核施設となる先端医療センターには通産省が建設費の半額三十億円を補助する方針。復興特定事業の認定を要望中。
■神戸灘浜エナジー事業
神戸製鋼所が二〇〇二年春に神戸製鉄所内で石炭火力発電所を稼働させる。発電所を中心にエネルギー資料館や健康増進センターなどが整備される。環境面で万全の対策が求められている。
■神戸ルミナリエ
震災犠牲者の鎮魂と傷ついた都市の復興を願い、九五年から始まった。昨年は五百十六万人が足を運び、神戸の冬の風物詩として定着。事業継続のため、安定した資金の確保が課題。
■新産業の創造、育成の研究事業
新産業創造研究機構が通産省や科学技術庁などから研究開発助成を受け、地元中小企業の事業展開を技術面で支える。米マサチューセッツ工科大との技術提携で成果も。
■神戸・ポートアイランド2期を拠点にしたデジタル情報通信ネットワークの活用事業
震災後、神戸・ポートアイランドから市営地下鉄沿線に敷設された大容量光ファイバー網を生かし、株式会社の「キメック」を中心に情報通信産業の育成を図る。市は同網の商用利用を検討しているが具体化していない。
(経済部・原康隆、宮田一裕)
1999/11/26