初もうでで絵馬に「こうこう ごうかく」と書く息子
初もうでで絵馬に「こうこう ごうかく」と書く息子

知的障害と自閉症、肢体不自由のある中学3年の息子。
高校入試が、いよいよ!!目前に迫ってきました…!
本命の公立は、「2月選抜」と呼ばれる2月半ばの試験。作文と集団面接です。

昨年10月、
【降っても晴れても すきっぷびより】大学より難しい!?ひょうごの「高校進学」~後編~
https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/skipcolumn/202510/0019586783.shtml
で書いた通り、高校進学への道は山あり谷あり…てか、山と谷しかなく。毎日(わたしが)悩み、焦り、疲れ切って、早くも心が折れかけ5秒前。

今回は「入試の合理的配慮」というちょっと込み入った話ですが、同じように悩む人の参考になればと、詳しめに書いていきたいと思います。

合理的配慮とは、お店の入口にスロープをつける、筆談でやり取りする、黒板を書き写す代わりにタブレットで撮影する…など、障害のある人の社会的なバリアを減らすための環境整備や対応のこと。
2024年4月には、この合理的配慮の提供がすべての事業者に義務付けられました。

「事業者」というのは学校やお店、役所や企業はもちろん、ボランティア団体や個人事業主なども。
ただし、「過重な負担がある場合」は除く…となっているので、「過重な負担って、何がどのぐらい?」というのは常に難しいところですが、とにかく、ハナから「無理!」と突っぱねず、対話をしましょう、ということになっています。

もともと、英語の「reasonable accommodation」をそのまま和訳して「合理的配慮」としたそうですが、「配慮」とすると心の問題や「思いやり」の一環のように捉えられがちなので、「環境調整」などと訳したほうがいいのでは…というのは、ずっと前から言われている問題です。

で、今回の高校入試の話に戻ります。
「特別措置」と呼ばれる合理的配慮は、「中学校長から志望する高校の校長に相談すること」となっており、息子の「2月選抜」と、その2月の試験が不合格だった場合に受ける「3月選抜」(5教科の学力検査)に向け申請したのは、主に以下のような措置。

・(上肢まひで手書きが難しいため)作文はiPadで作成
・面接の際は、分かりやすい言葉でゆっくり質問してもらう
・中学の先生による支援
・問題文の読み上げ
・回答の代筆
・別室受検
・時間短縮(本人が終わった時点で終了)
・昼食時の声かけや介助
など

以前のブログにも書いた通り、悩ましいのは
「どんな特別措置が認められるか決まるのは、出願後」というルール。

「試験でこんな合理的配慮が受けられるから、受検しよう」ではなく、願書を書き、志願理由書を必死に作成し、考査料を振り込み、出願してからでないと、どんな風に受けられるかが何も分からないのです。「順番、逆では…?」と思うのはわたしだけでしょうか。
中学の先生方も、高校まで話を聞きに行くなどあれこれ手を打ってくださっているものの、iPadを使っていいのか?手書きじゃないとダメなのか!?
「2月選抜」まではあと2週間ほどなのに、はっきりとは今も分からない状態。オーマイガー…

どんな合理的配慮が認められるかは都道府県によってまったく違い、公的な情報もほとんどない。
そもそも、入試で認められるには中学の定期テストなどでの「実績」が必要、とされていますが、中学の先生も知らない場合が多く、保護者が必死で情報収集したり学校に掛け合ったり。兵庫県だけの話ではなく、「入試の合理的配慮」の課題や不安はあちこちで聞いてきました。

出願の際に出さねばならない「志願理由書」は、所定の用紙の行間が狭いため、上肢まひのある息子には「枠内に、手書き」が非常に難しく、「所定のA4用紙をA3に拡大→めちゃくちゃ時間をかけて手書き→記入したものを縮小してA4に→学校でスキャンしてデータ化」という手順が必要でした。今年から兵庫県の高校入試は全面Web出願になったはずが…何度も何度も書き直させながら、オンライン出願の意味…!!と、思ったのでした。

先日面談した、とある高校の校長先生からは、何度も「公平性が…」と釘を刺されました。
確かに、知的障害のある子の合理的配慮は判断が難しい。「それ、ずるくない?」という、不公平感とのせめぎあいなのです。

となると、わたしたちが以前から提起している「そもそも、入試が必要なのか?」という議論に戻るわけです。
先進国の多くに高校入試はなく、日本でも終戦後の学制改革で、高校も「希望者全入」とされたのに、貧しかった敗戦後の一時的な措置として、高校入試が実施されました。なのに、めちゃくちゃ少子化が進んだ今も、入試はそのまま。競わされ、不安にさらされ、「行き場がないのは自己責任」と思わされる子どもたち。

面接練習やら願書用の写真撮影やら、目の前の山を必死で乗り越えつつ、「頑張ってよかった!」で終わらせないようにしないと…と、引き続き親子でもがいています。

▽萩原 真(はぎわら まこと)
【降っても晴れても すきっぷびより】は、すきっぷスタッフで元記者の萩原が、3人育児のドタバタや障害のある息子との生活で感じたこと、うれしいことから尽きない悩みまで本音満載でお届けします。