西崎義晴さん
西崎義晴さん

 2025年春の叙勲が発表された。長年それぞれの道で努力を重ねてきた淡路島内の受章者に喜びの声を聞いた。

消防設備業界、向上に努める【旭日双光章(県消防設備保守協会副会長)西崎義晴さん(74)】

 設備会社281社が加盟する兵庫県消防設備保守協会(神戸市)の副会長として11年間、消防設備の点検力向上に努めてきた。

 洲本市出身。父の影響で、消防設備業界の道に進んだ。27歳で消火器、ホースなどの消防設備を販売する「ハウス防火設備」(洲本市桑間)に入社した。現在は代表取締役会長を務める。

 1993年、同協会の理事に就いた。業界のレベルアップを目指し、消防設備士や消防設備点検資格者の資格取得に向けた講習、再講習会の開催に尽力。点検済みであることを認めるシールを協会が加盟社に発行する際の審査も担った。

 設備が正常に動けば被害を減らせる、と考える。消防設備の仕事について「人の命と財産を守ることに直結する」とやりがいを感じ続ける。「若い世代の教育に力を入れたい」。これからも業界を支えていくつもりだ。(古田真央子)

漁業活性化、地域のため奔走【旭日双光章(元県漁業協同組合連合会副会長理事)東根壽さん(75)】

 中学卒業後、漁師だった父の手伝いを始めて60年。漁業一筋で歩んできた。「昔は海に栄養があり、漁に出たら魚が釣れた。いい時代だった」と振り返る。

 1991年、旧淡路町漁業協同組合(淡路島岩屋漁協)の組合長に就任。「漁業者が豊かにならないと漁協も地域もだめになる」と奔走した。

 漁師、加工業者の生活安定や、地域のPRに向け、豊漁で値が下がったシラスを売り出し、ブランド化。活性化のため、市場に島外の仲買人も入れた。2016年から、県漁業協同組合連合会の副会長も務めた。

 今もシラス漁を続け、漁業の第一線で働く。受章に「皆さんの協力のおかげ。お返ししたい」。海の環境の変化や燃料費の高騰で漁業は苦境にあえぐ。「次世代のために、これからも自分なりに貢献したい」。海の男は力を込めた。

(荻野俊太郎)

教職生活38年、子どもと歩む【瑞宝双光章(元公立中校長)本條滋人さん(72)】

 「受け持った児童生徒は教え子ではなく『教えられ子』。私が学んだことばかりだった」。38年間の教職生活をそう振り返る。

 原点は旧淡路養護学校などで知的障害のある子どもと関わった経験だ。「靴を履くのに30分かかる子もいた。できたときのほっとした顔が忘れられない」。何でも懸命に吸収する姿を目の当たりにし、子どもの可能性の大きさを実感した。

 堺小や五色中で勤務し、五色中では校長も務めた。部活動では卓球の指導に力を入れた。生徒に伝えたのは信条の「人間万事塞翁(さいおう)が馬」。結果に一喜一憂せず練習するよう励ました。

 2018年に洲本市教育長に就き、任期中に新型コロナウイルス禍に直面。一斉休校、授業や部活の感染対策…。連日協議を重ね、対応に奔走した。受章に「たくさんの人に支えられた。恩返ししていきたい」(劉 楓音)