鬼頭梓さんの生誕100年記念展示を企画した藤原成曉さん(左端)と語らう、(右から)洲本図書館の坂口祐希館長、浜辺学さん、山本優雄さん=洲本市塩屋1
鬼頭梓さんの生誕100年記念展示を企画した藤原成曉さん(左端)と語らう、(右から)洲本図書館の坂口祐希館長、浜辺学さん、山本優雄さん=洲本市塩屋1

 赤れんがの壁が印象的な洲本図書館(洲本市塩屋1)で、同館を設計した建築家・鬼頭梓(きとうあずさ)さん(1926~2008年)の生誕100年記念展が開かれている。歴史的建造物を活用した設計思想とともに、多彩な仕事をパネルや模型で紹介。「図書館建築のパイオニア」と呼ばれた業績を一望できる。(古田真央子)

 鬼頭さんは東京・吉祥寺出身。東大を卒業後、戦後の建築界をリードした前川國男の下で経験を積んだ。1964年に独立し、日本建築学会賞を受賞した東京経済大旧図書館(68年)を皮切りに、国登録有形文化財に指定された東京・日野市立中央図書館(73年)など、生涯に30以上の図書館建築を手がけた。

 現在の洲本図書館は市民の要望を受けて、鐘紡洲本工場の跡地に、明治時代のれんが造りの建物を生かして、98年に開館した。設計に当たりプロポーザル方式で選ばれたのが、鬼頭さんの事務所だった。

 「審査では満場一致だった」と、図書館建設委員だった建築士の山本優雄(ゆうお)さん(72)=洲本市。「実績はもちろん、図書館自体に対する思い入れやれんがの扱いが断トツだった」と振り返る。使い勝手の良さや景観になじむことを大切にしていたといい、市の図書館建設の準備室長だった浜辺学さん(71)=洲本市=は、鬼頭さんの「公共建築の設計は自治体、利用者、地域に対して責任がある」という言葉を記憶する。

 れんが壁は補強し、新築の鉄筋コンクリート造りの建物と調和を図り、解体後のれんがも中庭に敷き詰めた。ゆとりのある読書スペースや吹き抜けの開放的な空間を備え、日本図書館協会建築賞などを受賞した。

 今回の展示を企画したのは、鬼頭さんに師事した藤原成曉(なりあき)さん(73)=藤原成曉設計室主宰(東京都)。義父の墓所がある淡路島はたびたび訪れており、昨年10月、図書館に生誕100年展を持ちかけた。

 「市民の熱意と周囲の支えがあって、図書館ができた。文化を守る大切さを感じてほしい」と藤原さん。会場では、各地に残る作品について、図面や写真などのパネル約20点で紹介し、関連書や模型も展示する。「品格と優しさを感じる」と、藤原さんが語る魅力に触れることができる。

 「煉瓦(れんが)に籠(こ)めた想(おも)い」展は22日まで(13、19日休館)。洲本図書館TEL0799・22・0712