兵庫県道路公社の播但連絡道路管理事務所=30日午後、同県福崎町西田原
兵庫県道路公社の播但連絡道路管理事務所=30日午後、同県福崎町西田原

 兵庫県道路公社播但連絡道路管理事務所(同県福崎町)が発注した工事を巡る官製談合事件で、逮捕された管理事務所保全課主査の男(38)が、入札下限額の基礎となる設計額を知り得る立場だったことが公社への取材で分かった。下限額の計算式は公表されており、県警は、主査が秘密事項に当たる設計額などの情報を業者側に伝えることで落札させた疑いがあるとみている。

 県警は2日、官製談合防止法違反と公競売入札妨害の疑いで主査を送検。工事を落札した総合建設業「松本組」(朝来市)の取締役(40)と、下請けだった「構造メンテ」(神戸市中央区)の取締役(49)、営業担当社員(67)の男3人も公競売入札妨害容疑で送検した。

 公社によると、主査は県採用の職員で、2020年4月に管理事務所へ派遣された。保全課では工事の設計や積算を担当し、入札下限額の重要な要素となる設計額の算定に携わっていたという。公社幹部は取材に「設計額を知っていれば、(下限額を)1円単位で出すことが可能」などと説明した。

 管理事務所の開札結果表によると、松本組は、送検容疑に含まれる23年4月入札の耐震補強修繕工事を、下限額と同額の9億3970万円で落札していた。