8人が死傷した集合住宅火災の現場。消防隊員や救急隊員ら100人以上が出動した=神戸市兵庫区湊町1
8人が死傷した集合住宅火災の現場。消防隊員や救急隊員ら100人以上が出動した=神戸市兵庫区湊町1

 住人8人が死傷した「第2ひろみ荘」(神戸市兵庫区湊町1)の火災を巡り、兵庫県警は業務上過失致死傷や建築基準法違反などの容疑を視野に調べていたが、立件を見送ったことが分かった。捜査関係者が明らかにした。

 県警によると、出火原因は1階の一室にあった延長コードの劣化の可能性が高い。また、火災後の神戸市の調査では、建物に非常用照明が備わっていないなど、複数の建築基準法の違反が明らかになった。

 一方で、建物の管理人らが違反事項を認識しておらず、火災による被害の拡大を予測できなかったと県警は判断。管理態勢のほか、出火元の部屋の住人(死亡)の過失や行政の対応なども含めて捜査したが、刑事責任は問えないと結論づけたという。

 【神戸市兵庫区の集合住宅火災】2023年1月22日未明、神戸市兵庫区湊町1の集合住宅から出火。3階建て延べ約290平方メートルのうち1、2階の一部を焼き、1階に住む77~86歳の男性4人が亡くなった。1階の一室にあった延長コードの劣化が出火原因とみられる。神戸市が同様の構造を持つ建物に行った緊急調査では、市内計82棟のうち19棟で建築基準法違反が確認された。第2ひろみ荘は解体されて更地となっている。