経済制裁のため輸出が規制されている高級車をロシアに不正輸出したとして、兵庫県警外事課と神戸水上署などは18日、外為法違反(無承認輸出)の疑いで、神戸市中央区の中古車輸出販売会社と、従業員で通関士の男(61)=大阪府豊中市、経理担当の女(62)=大阪市浪速区=を書類送検した。
政府は2022年4月、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの制裁を強化し、600万円を超える高級車などぜいたく品の輸出を規制している。対ロ制裁を巡り、県警が不正輸出容疑で事件化するのは初めて。
書類送検の容疑は22年12月~23年1月の3回にわたり、規制対象であることを知りながら、経済産業相の許可を得ずに高級車4台(申告総額約8583万円)を韓国・釜山港経由でロシア・ウラジオストク港に輸出した疑い。
同課によると、2人は容疑を認めている。県警は起訴を求める厳重処分の意見を付けた。
車はいずれもメルセデス・ベンツの大型スポーツタイプ多目的車(SUV)「Gクラス」。オフロードで高い走行性能を発揮する車だが、県警は「軍事転用が目的かどうかは把握していない」としている。
県警が会社の実質的な代表者とみている外国籍で50代の男は、家宅捜索後の23年6月に海外へ出国しており、県警は引き続き捜査する。神戸税関も18日、関税法違反の疑いで神戸地検に告発した。