疎開船が米軍機の攻撃を受けた後の場面の撮影=15日、沖縄県石垣市の石垣漁港(石垣市提供)
 疎開船が米軍機の攻撃を受けた後の場面の撮影=15日、沖縄県石垣市の石垣漁港(石垣市提供)

 沖縄県・尖閣諸島を行政区域に含む石垣市は、太平洋戦争末期の1945年7月に石垣島から台湾に向かっていた疎開船が米軍機に攻撃され、尖閣諸島に遭難した事件を題材にした映画の撮影を今月15日から始めた。映画を通して事件を全国に広める狙い。ただ、尖閣諸島の領有権を主張する中国との関係に影響するとの見方がある。

 映画は作家門田隆将さんのノンフィクション「尖閣1945」が原作。ロケは全て石垣島で行い、来年夏に石垣市で先行公開した後、全国で公開する。沖縄県史によると、石垣島の住民らを乗せた2隻が45年7月3日に米軍機の攻撃を受け、1隻が沈没。残る1隻は尖閣諸島の魚釣島に漂着したが、餓死者が出た。全体で数十人が死亡したとされる。

 中山義隆市長は「全世界から注視されている尖閣諸島を舞台とした作品の映画化は大きな意義がある。尖閣諸島の現状を考えるきっかけとなることを切に願う」とコメントした。

 現在の尖閣諸島周辺では中国海警局の船の航行が常態化。海上保安庁の巡視船とにらみ合い、政府関係者は「情勢は常に緊張している」と語る。