国指定重要文化財「大阪府立中之島図書館」の中央ホール((C)ShoPro・長谷工・TRC共同事業体)=大阪市北区

 建物たちは生きものだ-。時代の記憶をまとって、暮らしに根ざし、街の個性を醸成している。そんな建造物を無料で一斉公開する「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」が28、29日、大阪市内などで開かれる。10回目の今年は、過去最大規模の170件超が対象に。江戸、明治、大正期から、現代のものまでそろい、時空を超えるような旅気分を味わえそうだ。(小林伸哉)

 略して「イケフェス大阪」は2014年に始まり、日本最大級の建物公開イベントに育った。街ごと大きなミュージアムのように見立てて巡る催しで、昨年は延べ約5万人が参加した。

 大正期に「大大阪」と呼ばれて活気づいた都市。明治生まれの片岡安、渡辺節、村野藤吾、安井武雄から、現代の安藤忠雄まで名だたる建築家らが活躍し、優れた作品が街を彩る。

 光を当てるのは、大企業のビルや公共建築だけではない。喫茶店「マヅラ」やバー「堂島サンボア」、焼き肉店「食道園」の本店ビル、元銭湯「源ヶ橋温泉浴場」…。それぞれに人々から愛されたドラマがある。