フィンランドのデザインに焦点を当てる「フィンランドのライフスタイル-暮らしを豊かにするデザイン-」が神戸市東灘区の神戸ファッション美術館で開かれている。フィンランドを30回以上訪れ、北欧のインテリア雑貨などを扱うオンラインショップ「スコープ」代表取締役の平井千里馬(ちりま)さんにフィンランドの魅力について寄稿してもらった。
■大事に使い、手放して循環■
フィンランドの好きなところは物を捨てないところだ。僕自身が使い捨てない生活を目指して会社を運営しているから、学ぶことが非常に多い。
20年間で30回以上訪れているが、今でも観光より蚤(のみ)の市やビンテージショップを巡る時間が何より楽しい。フィンランドの人々は雪に閉ざされた長い冬を快適に過ごすために、生活用品に良い物を選ぶ人が多い。食器や家具、照明や室内装飾品など、多くのデザイナーが手がけたデザイン性が高く、高品質な良品を少しずつ集め、愛用し続けている。それらが不要となれば、蚤の市やフリーマーケットで売り出される。とはいえ、蚤の市やフリーマーケットへ行けばフィンランドデザインの名品があふれているのかといえば、当然そんなこともない。なんてことのない生活用品の中にそれらがまれに混ざっている。「フィンランド・デザインの良心」とも称されるカイ・フランクがデザインした古いイエローのマグが2ユーロで売られていたこともあるのだから、実に面白い。