将棋の「伊藤園お~いお茶杯第66期王位戦」(神戸新聞社主催)7番勝負の第4局が20日、福岡県宗像市の宗像ユリックスで指し継がれた。午後7時22分、後手番で挑戦者の永瀬拓矢九段(32)が、藤井聡太王位(23)=竜王、名人、王座、棋聖、棋王、王将=を130手で破った。永瀬はシリーズ初勝利で対戦成績を1勝3敗とし、王位初獲得に望みをつないだ。
第4局は初日、角換わり腰掛け銀の戦型に。永瀬の封じ手「6六歩」(72手目)から2日目の戦いに入った。永瀬は6五角(84手目)などで相手玉に迫り、藤井も敵陣に5三金(93手目)と打ち込むなどして激しく攻め合う展開に。優位に立った永瀬は1二金(102手目)と粘りに出て、互いに決め手を与えない状況が続いたが、最後は永瀬が相手玉を即詰みに討ち取った。
立会人の中田功八段(58)は「序盤は永瀬九段の作戦がうまくいき、後手番としては理想的な展開。永瀬九段が粘ったのは、藤井王位の追い込みがあったから。すごい熱戦だった」と振り返った。
持ち時間各8時間のうち残りは藤井1分、永瀬44分。第5局は26、27日、徳島市の渭水苑で指される。
【永瀬拓矢九段の話】■次局につなげられた 1二金(102手目)では、7二銀としなければいけなかった。2六桂(107手目)と打たれて薄い形となり、良くなかった。8六竜(115手目)が見えてなく、6五角(116手目)は本意ではなかったが、他の手では自信がないので指した。次局につなげることができたので、しっかり準備して頑張りたい。
【藤井聡太王位の話】■中盤戦は難しい将棋 4二馬(75手目)に代えて3五歩とし、切り合いにならない指し方にしなければいけなかった。4七角成(78手目)から7四桂(80手目)と打たれては、自玉が薄く見通しが甘かった。中盤戦はかなり選択肢が多く、難しい将棋。距離感を誤ってしまったところがあって、致命的になってしまった。
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