2013(平成25)年に堺雅人主演で大ヒットしたドラマ「半沢直樹」の原作である。本作を皮切りに「オレたち花のバブル組」「ロスジェネの逆襲」「銀翼のイカロス」「アルルカンと道化師」の5部まで続くシリーズはエンターテインメント作品として無類の面白さだが、池井戸潤の確かな時代観に裏打ちされているのでリアリティーがぐっと増す。
内定を与えられた学生は、全員が会社に囲い込まれ朝から晩まで銀行の監視下に置かれるのが当たり前だった。これを拘束という。(中略)時は1988年。いわゆるバブルの絶頂に向かって世の中が狂ったように突進していたころだ。(中略)バブル・ピークの狂乱が始まる直前、5人の学生たちはそれぞれに夢を抱き、希望に胸を膨らませて銀行の門をくぐったのだった。