三菱電機で昨年、上席執行役員に就任し、生え抜きで女性トップとなったFAシステム事業本部長の竹内敏恵氏(58)。女性が働き続けることが珍しかった時代に、研究者として、電力系統を異常電流から保護する「真空遮断器」を世界で初めて開発し、管理職として部下を率いてきた。同社の管理職の女性割合は2・6%(課長級相当以上で4・5%、2022年度)にとどまる。その中で仕事と子育てを両立してきた竹内氏に、自身の歩みや、より女性が働きやすい環境づくりに必要なことなどを聞いた。(石川 翠)
■「真空遮断器」を世界初開発
-長年、研究開発の道を歩んでこられました。
「おもちゃの中身が知りたくて分解するような子どもで、自然と研究開発の道に進んできました。入社時に中央研究所(現先端技術総合研究所、尼崎市)へ配属されたのは50人。そのうち女性は4人だった。これでも全社的には多い方で、大学の研究室でも同じようなものだったのであまり違和感はなかったです」
「研究開発チームのリーダーとして2006年に受配電システムで(事故などの際に発生する異常電流を遮断して電力系統を保護する)乾燥空気を使った真空遮断器を世界で初めて開発したことが印象深いです。いろんなことに挑戦させてもらえて楽しかったです」
-1994年に出産。子育てをしながら働き続けられました。苦労や支えは。
「もともと私自身は母子家庭で、喫茶店を切り盛りする母の姿を見てきたので働くことが当たり前と思っていたんです。時短の制度はあるけど誰も使う雰囲気ではなかったこともあってフルタイムのままでした。残業はできなくなりましたが。朝は会社に出勤して、夜は家に出勤している感じです。今はセキュリティー上できないけど、当時はよく家に仕事を持ち帰ってやっていました」