■新興企業に人材など提供、構想から支援。
起業家らに必要な人材や資金を提供して独立に導く専門組織「スタートアップスタジオ」を運営。「norosi(ノロシ)」と名付け、「世の中を変えたい」と事業に挑むスタートアップ(新興企業)に構想段階から寄り添う。自治体や企業とも連携。充実したサポートを提供する。
「限られた人しか新しいことを起こせない状況を変えたい」。アドリブワークス(神戸市東灘区)の山岡健人社長(37)は、大学卒業後にIT、コンサルティング会社でキャリアを積み、そんな思いを抱いた。2018年に創業。当初は地元の愛媛県今治市に本社を置いたが、スタートアップ支援に積極的な神戸市のイノベーション専門官らと出会い、20年に軸足を神戸に移した。
このころに「triven(トリブン)」という起業家向けマッチングサイトの運営を開始。「三人寄れば文殊の知恵」「三本の矢」など結束を示す「3」をギリシャ語で表現した「トリ」と、推進基盤を意味する「ドリブン」から命名した。その名の通り、起業家予備軍が、支援の基盤となって支えてくれる協力者と一緒にアイデアを磨き、鍛える。
こまやかな支援が口コミなどで広がり、今では6千人が登録、600以上のアイデアが掲載されている。今年に入って、生成人工知能(AI)で事業計画書やプレゼン資料などを作成するシステム「triven AI」の提供も始めた。
「スタートアップは注目されている。でも、長い孤独な期間を誰も見ようとしていない。僕たちはそこをしっかり見たい」と山岡社長。
ノロシでは、トリブンなどで経験を積んだ複数の起業家らを、審査した上で受け入れる。経営者や企業の研究員らの支援が受けられるほか、アドリブ社が投資をしたり、山岡社長らが役員として独立後も事業に関わったりする形で伴走する。
試作品や事業構想を描いた資料まで、スタートアップの「過程」を見てもらう店舗づくりにも動き出した。10月には国家戦略特区に指定されている養父市に起業家が集い、商品開発の場にもなる拠点も開いた。
「僕たちが支援し、生み出しているのは、世の中への問題意識に気づき、立ち上がろうとする『スタンドアップ』たちなんです」。自らが取り組む事業への強い思いをよどみなく、言い切った。(大盛周平)
<データ>IT、コンサルタント業界などでキャリアを積んだ山岡健人社長が2018年に故郷の愛媛県今治市で創業。20年に神戸市東灘区に移った。売上高は約1億円。従業員10人。山岡社長は早稲田大第一文学部卒。
























