2023年のプロ野球阪神・オリックスの優勝記念パレードで、公務で携わった兵庫県と神戸市の職員ら約1500人に貸与された特製ジャンパーが販売禁止とされながら、フリーマーケットアプリ「メルカリ」に複数出品されていることが分かった。県によると、職員が出品した場合は規定に違反する可能性がある。ただし、ジャンパーは民間ボランティアにも配られていたといい、彼らに販売禁止を伝えたかどうかの詳細は不明としている。
パレードで使われたジャンパーは「V」の文字や両チームのロゴマークをあしらい、神戸が黒色で、大阪は白色。帽子は共に白と黒を基調としている。いずれもクラウドファンディングによる寄付金と企業の協賛金で作り、神戸分は約400万円だった。
今年1月までにメルカリのサイト上には、売却済みを含めて少なくとも4点が出品されていた。価格は3499~2万5千円で、ジャンパーと帽子のセットになっている。
県によると、ジャンパーと帽子は、公務で警備に当たった県と市の職員ら計約1500人に貸し出し、第三者に譲渡、販売しないように事前説明会で伝えた。しかし、パレードを終えて廃棄の予算がないことなどから回収せず、それぞれの業務などで利用してもらうことにした。
約1500人には民間ボランティア延べ72人も含まれていたといい、職員らと同じようにジャンパーと帽子を着て街頭に立った。ただ、貸与か支給かの記録は残っていないという。担当者は「職員が出品したのであれば利益を得ることになり不適切。ボランティアは詳細が不明でコメントできない」とした。
大阪では、ボランティアとして従事した大阪府・市の職員計約2500人に白いジャンパーと帽子が支給され、メルカリで大量に売り出された。吉村洋文知事は出品を許可し、市担当者も「どうするかは個人の自由」などとしていた。(門田晋一)