エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングが、食品スーパー事業で新業態への転換を加速させている。店舗の改装や新規出店を通じて、2025年度内に高級路線の「Aタイプ」を2店舗、低価格路線の「Cタイプ」9店舗を兵庫県内などに投入する計画。既に10月末までにそれぞれ2店舗を設けた。Cタイプは改装で売り上げが顕著に伸びており、まずは同タイプの店舗数を増やしていく考えだ。(広岡磨璃)
H2Oは、阪急オアシス▽イズミヤ▽関西スーパー▽デイリーカナート-の四つの屋号でスーパーを運営している。H2Oは22年、既存店を標準的な「Bタイプ」と位置付け、「価値訴求型」のAタイプと「価格訴求型」のCタイプの店舗を開発すると発表した。自社内で競合する商圏があるため、複数の業態ですみ分けを図るのが目的だった。
ところが、関東などから関西エリアに食品スーパーが相次いで進出し、競争が激化。物価高で消費の二極化も進み、低価格や高級を前面に出す店舗が増えた。H2Oは今年2月、投資家向け説明会で「今後の新店舗フォーマット」を公表。Bタイプが姿を消し、AとCいずれかの店舗に軸足を置く姿勢を鮮明にした。
今年4月23日に改装オープンした「関西スーパーデイリーマート市岡店」(大阪市港区)は、Cタイプの1号店だ。「毎日安売り」のスタイルを基軸に、曜日ごとの特売を原則やめるなど、既存店とは異なる運営手法を取り入れた。店内組織のスリム化などで運営コスト削減も図っている。
H2Oによると、市岡店の売上高は改装前の15%増と好調に推移。9月には、Cタイプの2店舗目となる「関西スーパーデイリーマート豊中南店」(大阪府豊中市)をオープンさせた。両店とも関西スーパーを改装したが、今後は阪急オアシスやイズミヤも「Cタイプ化」の対象になるという。
一方、Aタイプの1号店は、4月25日に新規開業した「阪急オアシス宝塚南口店」(宝塚市)で、阪急宝塚南口駅前のタワーマンション敷地内に立地。一頭買いの黒毛和牛や、鮮魚の対面販売など、こだわりの商品や売り方を取り入れた。
10月31日には、Aタイプの2店舗目となる「阪急オアシスマルシェ南千里店」(大阪府吹田市)が改装オープン。こちらは「A」ならではの品ぞろえと「C」のお得感を融合させた「ハイブリッド型」という。
この日はH2Oの9月中間決算会見があり、記者から「ハイブリッド型は中途半端ではないか」との質問が出た。林克弘副社長は「全くそうではない。商品によっては価格が重視されるものもある。軸足は(AかCいずれかに)置きつつ、商圏ごとの需要に応えていく」と強調。AとCに区分けしても、地域によって柔軟に対応する考えを示した。
























