異文化との摩擦、あつれきにもまれながら、包摂する文化を育んできた街だからこそ描ける未来がある。海外アーティストは「ホームタウン」と呼んだ。病に苦しむ患者を救う技術は、海を越えようとしている。
■ビジョンケア社長・高橋政代さん 再生医療、アジアに広めたい
2014年9月、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた世界初の網膜細胞移植が、神戸の地で成功した。当時、理化学研究所(理研)の研究チームを引っ張った高橋政代さん(64)は今、ビジョンケア(神戸市中央区)の社長として、治療法の確立に向けて突き進む。「この10年間で満足のいく治療になった。より多くの患者さんに広めたい」。視線は世界を向く。
神戸発の再生医療を世界に広げるため、高橋さんが取り組むのは仲間づくりだ。「治療法を広めるには、まずは医者から」と、5年ほど前から、国内20以上の大学病院で研究会を続ける。
同様の取り組みを、タイや韓国などでも始めた。理念を伝え、手法や効能を共有するステージへ。神戸で蓄積したモデルを「輸出」し、世界中の患者の受診につなげる。神戸で治療したい患者を、海外から受け入れることも検討している。
























