伊丹、宝塚市長選が終わった。いずれも現職が退任を表明し、新人が3人ずつ無所属で立候補。伊丹は元県議中田慎也氏(43)、宝塚は小児科医森臨太郎氏(54)が初当選した。取材した記者たちが選挙戦を振り返る。(市長選取材班)
記者A 伊丹は5期20年の現職藤原保幸氏が立候補するかが最大の焦点だったが、最も早く名乗りを上げたのが中田氏だった。昨年末には藤原氏は周囲に任期満了での退任の意向を内々で伝え、中田氏も把握していた。1月の立候補表明で具体的な政策を打ち出し、周到な準備がうかがえた。
記者B 宝塚は現職の山崎晴恵氏が1月末に1期限りでの退任を表明し、地元で驚きが広がった。ただ、前市長の中川智子氏が参加する市民グループは水面下で森氏擁立に動き、山崎氏の表明から1週間もたたずに森氏が立候補を公表した。
記者C 元市議の大川裕之氏(50)=自民、維新推薦=の立候補表明は森氏から遅れた。2021年の前回選では自民と維新がそれぞれ候補を立て「保守票」が割れた反省がある。大川氏が事実上の「保守系統一候補」に決まるまで時間がかかったようだ。
記者D 両市長選で維新が候補擁立を見送ったことは特徴の一つだった。維新関係者は「名を捨てて実を取る」と話す一方、斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書を巡って2月に発覚した維新県議(当時)の情報漏えい問題を挙げ「タイミングも良くない」とも吐露していた。