詐欺被害を未然に防ぎ、感謝状を受け取る塚本聡子さん=尼崎南署
詐欺被害を未然に防ぎ、感謝状を受け取る塚本聡子さん=尼崎南署

 たまたまATMで見かけた高齢男性の詐欺被害を防いだとして、兵庫県尼崎市のパート塚本聡子さん(63)が兵庫県警尼崎南署長から感謝状を受けた。携帯電話でやりとりしながらATMを操作する男性に気付き、思い切って声をかけて説得し、警察への通報につなげた。

 塚本さんは8月下旬、市内のスーパーにあるATMの列に並んだ。前にいる男性が話しながらパネルを操作しているのが目に入った。気になり「家族の方と電話されてるんですか」と声をかけた。でも、男性は「だまっとれ」と言うだけだった。

 いったん引き下がったが、男性の通話相手が「050」で始まる番号だったこともあり、懸念が増した。「ここで諦めたら後悔する」と思い、何度も声をかけて男性を説得し、警察に通報した。

 勤務している市内のコンビニで、日ごろから署員に詐欺を防ぐ呼びかけを聞いていた。「声をかけた時は店員の気持ちだった」と振り返る。感謝状を受けて「大それたことは何もしていないけど、ありがたい気持ち。これからも不審に感じた時はあきらめずに声をかけたい」とほほ笑んだ。

 正木博文署長は「勇気ある行動で素晴らしい。不審に感じた際はためらわず警察に連絡を」と呼びかけていた。(潮海陽香)