事故現場で協力して交通整理を行ったとして、網干署は、兵庫県姫路市網干区坂出のはらみず歯科クリニックの職員や近隣住民に署長感謝状を贈った。事故は帰宅ラッシュ時に発生。電柱に衝突した車が道をふさいだが、とっさの連携プレーで多重事故の発生を防いだ。
9月22日午後5時50分ごろ、歯科衛生士の不動佑紀子さん(44)と山中加奈さん(48)は徒歩で同クリニック近くの職員駐車場に向かう途中、「ドーン」と大きな音を聞いた。驚いて振り返ると乗用車が電柱に衝突し、道をふさいでいた。
運転していた40代女性は軽傷だったが、車は前がつぶれて自走できない状態。現場の市道は県道に通じる交通量が多い道で、事故直後も事情を知らない車が次々と道に入ってきた。「私たちでせき止めよう」。2人はクリニックの同僚と約10人で交通整理を始めた。
奔走するクリニック職員を見た近所の安福民子さん(51)は、長男の大輝さん(21)に助けを求めようと、誘導灯を手に自宅を飛び出した。誘導灯は「提灯(ちょうちん)練り」で知られる魚吹(うすき)八幡神社(同市網干区宮内)の秋季例祭で使うため、たまたま家にあったものだった。
祭りの太鼓練習に出ていた大輝さんは現場に駆け付け、誘導灯を振って車に迂回(うかい)を呼びかけた。近所の奥田久美子さん(50)も加わり、約30分間、連携して交通整理に当たった。
同署の吉野雅俊署長は「事故現場で活動してくれる人はなかなかいない。警察官顔負けの働きで本当に助かった」と謝意を述べた。不動さんは「大層なことはしていないが、役に立ててよかった」とほほ笑んだ。(真鍋 愛)
























