行方不明の女性(88)の発見に貢献したとして、兵庫県警尼崎南署は県警鑑識課の警察犬「ヴィクトール・フォン・マイン・リーベ号」に署長感謝状を贈った。捜索開始から16分で発見。コンビの同課警察犬係の椎谷剛巡査部長(36)は「人や車の通りが多く、においが消えやすい環境でよく見つけてくれた」とたたえた。
ヴィクトール号は4歳の雄のジャーマンシェパード。昨年11月に神戸市内で起きた強盗事件でも捜査解決に貢献するなど約670件の事案に従事してきた。
7月14日朝、同県尼崎市稲葉元町2の稲葉荘交番に「母がいなくなった」と届けがあった。要請を受けたヴィクトール号が女性の枕のにおいを嗅ぎ、椎谷巡査部長と自宅から捜索開始。地面に鼻を近づけ、においをかぎながら進んだ。
国道に出ると、においが途絶えたのか鼻を上げた。しかし迷った様子はなく、時折嗅ぎながら歩いた。武庫川沿いにたどり着くと、何かを感じ取ったのか立ち止まり、鼻先を土手の階段に向けた。同行の署員が駆け上がると、女性が立っていたという。自宅を出てから2時間半ほど経過していたが、けがや熱中症の症状はなかったという。
今月7日に尼崎南署であった式典では、感謝状とともに犬用ガムが贈られた。昨年10月からコンビを組む椎谷巡査部長は「人見知りだが慣れてくるとじゃれてきてかわいい。これからも一緒に頑張ろう」としっぽを振る相棒に呼びかけた。(池田大介)