旧居留地には、街の来し方行く末を思い活動する二つのグループが存在する。NPO法人「神戸外国人居留地研究会」(神戸市中央区)と、まちづくり団体「旧居留地連絡協議会」。アプローチは異なれど、地域への愛はいずれも深い。
居留地研究会は1998年に発足。地域学研究グループのネットワーク「ひょうご学研究会」での活動を背景に、現理事長の神木哲男・神戸大名誉教授(日本経済史)らの呼び掛けで、“異人館博士”こと故坂本勝比古・神戸芸術工科大名誉教授や郷土史家、市民らが集まった。
現在の会員は約120人。居留地で活躍した外国人の足跡や文化、日本人と混住していた「雑居地」の成立過程、日本初の国営オリーブ園とその歴史…。取り上げるテーマはさまざまだ。
昨年11月の例会では、幕末・明治前期に活躍した英国人医官ウィリアム・ウィリスのひ孫、手木美恵子さんが発表。1868年、岡山藩兵と外国兵が三宮神社前で衝突した「神戸事件」で重傷者の治療に当たった功績を紹介し、「敵味方を問わず人命を尊重し、日本の医療技術の向上に尽力した史実を知ってほしい」と話した。
こうした研究会や交流会を通じて議論を深めた成果は、年報のほか、各会員の著作としても発表されている。理事の高木応光(まさみつ)さん(75)は「欧米文化との窓口になった外国人居留地にはさまざまな顔があり、知られざる歴史も多い。昨年はコロナ禍で難しかったが、他の居留地との交流も深めていきたい」と話す。
一方、旧居留地の立地企業など約110社でつくる連絡協議会。ビルのオーナーらによる戦時中の自衛団が、占領下で親睦団体「国際地区共助会」として再編。これを母体に1983年発足した。
戦後の社会変動の中、行政と連携して「居留地らしい」街並みを守ろうとしてきた。
阪神・淡路大震災では22棟が被災。返還前の居留地時代から唯一残った国重要文化財「十五番館」も倒壊したが、復元を果たした。復興計画に取り組む中からガイドラインを独自に作成。区画を維持し、壁面や軒のラインをそろえ、屋上や壁面の突き出し看板を避けるなど、景観を乱さない取り組みを進める。
「どこのビルにどんな人がいるか、分かっていることが大事。まちづくりや防災活動で協力しやすい」と松岡辰弥会長(56)。コロナ禍で顔を合わせる機会が減る中でも、10月にオンラインのバスツアーを開催した。「形は変わっても旧居留地内の触れ合いを大切にしたい」
(竹本拓也、上杉順子)
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