新型コロナウイルス陽性患者らの搬送先が決まらず、現場に30分以上とどまる「救急搬送困難事案」について、神戸市内では「第5波」の数が「第4波」から半減していることが明らかになった。ワクチン接種の促進や自宅療養者へのケアの強化で重症化する患者が減り、入院調整がスムーズになってきていることが要因とみられる。(長谷部崇)
同市では陽性患者を病院搬送する場合、通常は市保健所の搬送車を使うが、酸素投与が必要な場合などは救急車に依頼する。また、自宅療養や療養先調整中の患者が直接119番して出動するケースもある。
「救急搬送困難事案」とは、救急隊による医療機関への受け入れ照会が4回以上で、現場滞在が30分以上かかったケースのこと。神戸市内では第4波のピーク時に当たる5月10~16日の1週間で69件に上ったが、第5波ではピーク時でも36件(9月6~12日)と半減した。
「高齢の患者が減り、保健所からの搬送依頼も少なくなっている」と、市消防局の新田幸司救急係長。陽性患者の救急搬送件数は、4月=507件(不搬送105件)▽5月=568件(同94件)-だったが、8月は363件(同209件)。感染者数自体は8月の方が多かったが、搬送件数は4、5月の6、7割にとどまる。
市保健所の平山順子感染症担当課長は「ワクチン接種が進み、重症化しやすい高齢者の感染が減ったことが大きい」と分析。その上で「第4波の教訓を踏まえ、自宅療養者に対する外来受診や往診の体制を強化したほか、『抗体カクテル療法』も始まり、重症化してから入院するケースが大きく減った。第4波よりも入院調整がスムーズにできている」と話す。
ただ、8月は救急車が出動しても、患者の血中酸素飽和度や容体を確認して「不搬送」とするケースが4、5月よりも多かった。1日300人台の感染が続き、保健センターからの自宅療養者に対する連絡が遅れがちになったほか、首都圏を中心に自宅療養者が亡くなるニュースも相次ぎ、息苦しさなどの不安で、自ら119番するケースが多かったとみられる。
「不搬送」となった場合は、翌日に保健師が患者宅を訪問するなどして対応していたが、8月下旬からは、市内11カ所の保健センターで自宅療養者の状況把握に専念する保健師や看護師のチームを設置。1日1回は連絡を取るようにしており、9月に入って患者本人からの119番は減少傾向にあるという。
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