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複合現実(MR)ゴーグルを使い、伊藤博文らが登場するバーチャルドラマを視聴できる「県庁舎」=神戸市兵庫区中之島2(撮影・坂井萌香)
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複合現実(MR)ゴーグルを使い、伊藤博文らが登場するバーチャルドラマを視聴できる「県庁舎」=神戸市兵庫区中之島2(撮影・坂井萌香)
オープン初日、初代県庁館の入り口前には長い列ができた=神戸市兵庫区中之島2(撮影・坂井萌香)
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オープン初日、初代県庁館の入り口前には長い列ができた=神戸市兵庫区中之島2(撮影・坂井萌香)
木製の「仮牢」に入って遊ぶ子どもたち=神戸市兵庫区中之島2(撮影・坂井萌香)
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木製の「仮牢」に入って遊ぶ子どもたち=神戸市兵庫区中之島2(撮影・坂井萌香)

 神戸市兵庫区に3日オープンした「兵庫津ミュージアム・初代県庁館」。瓦屋根や畳で再現された約150年前の江戸建築では、江戸幕府の終焉(しゅうえん)から兵庫県設置に至るまでの「仮想ドラマ」を視聴できるなど、独特の仕掛けが施されている。

 仮想体験が楽しめるのは、初代県知事の伊藤博文が通った「県庁舎」。

 複合現実(MR)ゴーグルを装着すると、現実には誰もいない板張りの執務室に、最後の兵庫奉行の柴田剛中が、兵庫を去る様子が映し出される。

 物語は伊藤の初登庁に展開し、神戸の中心部が外国軍に一時占領された「神戸事件」で対応力を発揮したことが紹介される。

 伊藤が日本の未来を豪商・北風正造と語り合う場面では、視聴者がバーチャルのポットを操作して2人にコーヒーを注ぐ体験も。

 兵庫県宝塚市の主婦(54)は、熱弁する伊藤に近づいて肩をたたいてみた。「不思議な感覚だけど、ちゃんと知らなかった歴史を身近に感じた」

 県庁舎には、知事執務室や法廷として使われた「お白州」も復元されている。一帯はスマートフォンの拡張現実(AR)技術を使った写真スポットになっていて、伊藤や柴田、北風の3D映像と並んで記念撮影ができる。

 娘と伊藤と一緒に写真に納まった小学校教諭の男性(37)=神戸市兵庫区=は「まるでその時代に来た感覚。役所が和の建築というのも新鮮」と笑顔だった。

 罪人を短期間拘置する「仮牢」では二重になった木製のおりが開放され、親子連れらが自由に出入りした。この日はオープンを記念して敷地内でジャズライブが開かれ、大勢の来場者でにぎわった。(井上太郎)

■名誉館長の田辺眞人さん講演

 「兵庫津ミュージアム・初代県庁館」の開館を記念した講演会が3日、イオンモール神戸南であった。園田学園女子大学名誉教授で同館名誉館長の田辺眞人(まこと)さん(74)が「県立兵庫津ミュージアムの個性と役割」をテーマに語った。要旨は次の通り。

 平安時代末期まで神戸の港は大輪田泊と呼ばれ、鎌倉時代から兵庫津と呼ばれるように。平家物語には地名として兵庫が出てくる。戦後は町の個性を生かした復興ができなかったため、震災後は昔の歴史を生かした町づくりをしようとなった。

 兵庫で歴史を学び、非日常の体験ができる場になったのは確か。地元の人には、空襲で焼かれてしまった豊かな歴史を再認識してもらいたい。

 世界に対しては大きい夢もある。スエズ運河やパナマ運河と将来交流し、日本で最大級の兵庫運河を世界に発信したい。来年オープンする「ひょうごはじまり館」も楽しみにしてほしい。(まとめ・丸山桃奈)

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