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手水舎の内側に竜の下絵を描く山内章さん=綱敷天満宮
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手水舎の内側に竜の下絵を描く山内章さん=綱敷天満宮
色を付けた竜のイメージ(山内さん提供)
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色を付けた竜のイメージ(山内さん提供)

 2匹の竜が鋭い眼光で見下ろす。須磨の天神さまとして知られる「綱敷天満宮」(神戸市須磨区天神町2)の手水舎に、今にも動きだしそうな双竜が出現した。実はこちら、同天満宮が約70年ぶりとなる境内大改修の目玉に、と制作中の絵。江戸時代に浮世絵師葛飾北斎が竜を題材に描いた作品を模した。現在は下絵が出来上がった段階で、これから鮮やかに色付け、仕上げていく。5月中旬に完成予定で、それまで約1カ月間、同天満宮は貴重な制作過程を公開、誰でも見ることができる。(貝原加奈)

 「実は、今の駐車場の場所に昔は大きな池がありまして、竜神様を祭った社が立ってたんです」。同天満宮の久野木啓太宮司(56)が説明してくれた。

 戦後しばらくして池は埋め立てられ、社もなくなったが、同天満宮は境内修復に合わせ、水の神である竜神の社を手水舎の横に再建立しようと計画。文化財修復を手掛ける天野山文化遺産研究所(大阪府河内長野市)の山内章代表理事(63)=奈良県=から提案を受け、手水舎の内側に竜の絵を入れることにした。

 絵は「東町祭屋台」(長野県)の天井に描かれた北斎の絵を模し、社の建立に先立って制作。励む人を開運へと導くように-との願いを込め、阿吽(あうん)の双竜を表現する。

 「北斎の竜は目の中に三日月形があるのが特徴です」と山内さん。「当時は極彩色のポップアートだった」といい、同天満宮の絵も黄や緑、青などで色鮮やかに彩る。同天満宮は、素木だった灯籠や鳥居を彩色中で、竜の絵の完成後は朱色との対比も新たな見どころになるという。

 手水舎では、職人が1色ずつ重ね塗りする様子や、作品の途中段階を見学できる。

 同天満宮の改修そのものも担う山内さんは「境内全体が北斎の絵の世界観に近づくと思います」。久野木宮司は「ぜひ足を運んで日本の伝統の良さを多くの人に味わっていただければ」と話している。

 6月26日には同天満宮社務所で、合格・学業成就を祈願し、竜神図の絵馬を作るワークショップを開催。山内さんが講師となり、実際に江戸時代の絵具を使って色付けなどを楽しめる。参加費2千円。午前10時、午後0時半の2回。各回定員20人。同天満宮社務所TEL078・734・0640

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