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森山未来さんがリード、神戸の街中をアートで飾って 芸術家を国内外から公募、滞在して創造を

2022/09/10 05:30

 アートの力で街の魅力を再発見-。神戸の公共空間に新たな芸術作品を設け、観光誘客へとつなげるプロジェクトが本格始動した。神戸市が進める「コウベ・リパブリック・アート・プロジェクト」で、同市出身の俳優、森山未来さん(38)が統括役のメインキュレーターを務める。全国でも珍しい取り組みをリードする森山さんは、市内で開いた会見で「神戸の風を受けたアーティストが創り出す新たな価値を共有したい」と意気込みを語った。(貝原加奈)

 国際貿易港として発展してきた神戸市には歴史と多様な文化を感じさせる風景や場所が多い。「BE KOBE」のモニュメントや、芸術の祭典「六甲ミーツ・アート」の出品作など公共空間に作られたパブリックアートも点在する。

 今回のプロジェクトは、新型コロナウイルスとの共存時代を見据え、神戸にゆっくり滞在する観光客を呼び込むためのアート作品の創出を目指す。

 現在は広く国内外から、彫刻や絵画など多彩な分野のアーティストを公募している。都市部や山間部など市内を大きく五つの地域に分け、それぞれの特性に合わせた宿泊施設を用意。アーティストは1週間程度そこに滞在し、街の歴史や営み、人について知りながら制作活動につなげていく。

 アーティストたちの完成作品は、2023年3月ごろに発表予定。滞在費などは市が負担する。

 会見では、今西正男副市長が「全国的にも類のない取り組み。新しい概念のパブリックアートになる」と期待。プロジェクトで生まれた作品は、映像やドキュメントとしてアーカイブ化し、市内周遊観光のPRに役立てるという。

 プロジェクトのテーマは「人新世(じんしんせい)に吹く風」。森山さんは「人工物が含まれていない場所がない時代を、地質学では人新世と呼ぶ」と説明。約1年かけて出身地の神戸を巡り歩いたといい、「豊かな自然に加えて下町や大衆文化、ものづくりなど知らなかった魅力が凝縮されているのが神戸だと気づいた」。「観光客だけでなく、地元の人にとっても再発見が多いプロジェクトにしたい」と力を込めた。

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