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車いすマークや車両の番号など、細部まで再現された神戸市バスのトミカ((C)TOMY)=神戸市兵庫区御崎町1
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車いすマークや車両の番号など、細部まで再現された神戸市バスのトミカ((C)TOMY)=神戸市兵庫区御崎町1
車いすマークや車両の番号など、細部まで再現された神戸市バスのトミカ((C)TOMY)=神戸市兵庫区御崎町1
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車いすマークや車両の番号など、細部まで再現された神戸市バスのトミカ((C)TOMY)=神戸市兵庫区御崎町1

 神戸市バスをデザインしたミニカー「トミカ」が今春から数量限定で3度にわたって販売され、子どもから大人まで幅広い層の人気を集めた。市交通局によると、予約分も含めて1万個超を売り上げたといい、「予想をはるかに超えた」と担当者も驚く。「長年、市バスを運転した父に」「高齢者との会話のきっかけに」-。市バスを巡る市民のさまざまな思い出や愛着も、人気の理由の一つだったようだ。(名倉あかり)

 ■息をのむ行列に「まさか」

 トミカはタカラトミー(東京)の人気商品。緑と白のツートンカラーが特徴の神戸市バスのトミカは、いすゞ自動車の「エルガ」の車体をモデルに作られた。

 価格は1個税込み千円。パッケージには市バスのイメージキャラクター「ばっしー君」があしらわれている。ふるさと納税の返礼品としても取り扱われた。

 最初の発売日の4月17日午前9時ごろ。早速購入しようと三宮駅前の市バス・地下鉄お客様サービスコーナーを訪れた神戸市北区の事務職員、松木稚佳子さん(49)=同市北区=は息をのんだ。「まさかこの列は-」。阪神電車方面までずらりと並ぶ人がトミカ目当てだと分かり、諦めて帰路に。後で即日完売したことを知った。

 松木さんの父は約40年、市バスの運転手を務めた。退職から20年ほど経過し、トミカと当時の車両はデザインが異なるが「思い出の市バスには変わりない」と、自身や父親の分を購入したかったという。

 ■ネットで5倍の値段で転売も

 一方、同市灘区に住む看護師の女性(54)は約5年前からトミカにはまり、コレクションは300個を超える。ファンの間では、市バスなどの「ご当地トミカ」はパッケージも合わせて人気で、「特にばっしー君のようなかわいらしいキャラクターが描かれた商品は珍しい」と話す。

 女性には、収集以外にも理由があった。職場の介護施設では高齢者と接するため、市バスのトミカは「『昔乗った』と会話のきっかけになったり、塗り絵の見本になったり、仕事に生かせると思った」。手になじむサイズと手頃な価格で、気兼ねなく触ってもらえる点も重宝するという。

 女性も発売日の売り場や市のイベントに足を運んだが、買えなかった。ネット上で、定価の5倍の5千円で出品されているのを目にし購入するか悩んだが、思いとどまった。「ファンほど(高額転売で稼ぐ)『転売ヤー』からは買いたくないんです」

 ■愛する市民に吉報も

 すると即日完売の好評ぶりを受け、市交通局が5月と9月に再度、抽選販売を実施。ネット販売はせず、1人5個を上限に、同サービスコーナーでの引き渡しとした。

 そして9月下旬。父のために買い求めた松木さんと、看護師の女性の元にそろって「当選」メールが届いた。「長い間運転してくれた父への感謝を込めて、大切に保管したい」と松木さん。看護師の女性は実感が湧かず、当選メールを毎朝確認しているという。

 同局の担当者は「経営悪化など良いニュースがない中、改めて市バスが市民に愛されていることが分かった」と笑顔。「これを機に本物にも乗ってもらえたら」と期待を込めた。

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