阪神・淡路大震災直後と復興後の街並みの写真を並べて、震災遺構保存の在り方を考える「震災の消えた傷跡と神戸の壁遺構達の写真展」が15日、神戸市長田区腕塚町5のウォールギャラリー(新長田大橋地下道内)で始まった。神戸市内や東日本大震災の被災地を捉えた約150枚を計40点のパネルにまとめて展示している。11月14日まで。(千葉翔大)
震災の教訓を神戸から発信しようと、同区内の市場で被災し、淡路市内に移設された遺構「神戸の壁」の保存に取り組む市民団体「リメンバー神戸プロジェクト」などが主催した。
同団体の三原泰治代表=神戸市垂水区=が撮影したり、知人から提供を受けたりした写真の一部を展示している。アーケードがひしゃげた西神戸センター街(神戸市長田区二葉町4)の1枚には、曲がったアーケードの保存を住民が訴えたがかなえられなかったとする指摘を添えた。
神戸の壁を2009年に移設するまでの経緯も写真で紹介している。
初日は記念セレモニーが開かれ、市民や関係者が参加した。「神戸市役所センター合唱団」のメンバーは、神戸の壁などを題材にした曲を披露した。
三原代表は「被災の体験者も減った。防災や減災の道しるべとして震災遺構の重要性を知ってほしい」と話した。
入場無料。午前9時~午後8時。
■淡路に移設「神戸の壁」で祈りの演奏
写真展を前に、北淡震災記念公園(兵庫県淡路市小倉)にある阪神・淡路大震災の遺構「神戸の壁」で14日、オカリナの演奏会があり、鎮魂を祈る音色が響いた。
遺構保存の意義を訴えようと、同公園前総支配人の宮本肇さん(67)が企画した。宮本さんは、東日本大震災被災地の宮城県南三陸町で、327人が屋上へ避難して助かった冠婚葬祭式場「高野会館」の保存運動に協力している。
東北でも活動する千葉県市川市のオカリナ奏者勝尾恵理子さん(64)が、神戸の壁がくぐり抜けた神戸空襲と震災を歌った「リメンバー神戸の壁」、高野会館の教訓を伝える「てんでんこ白い建物・高野会館」など3曲を披露した。関係者や来園していた中学生が聞き入り、宮本さんは「災害の脅威はいつかまたやってくる。教訓を未来へ伝える遺構の保存は重要で、音楽の力を借りたい」と話した。(中村有沙)









