兵庫県三木市出身で中央大4年の坪井湧也選手(22)=自由が丘東小、自由が丘中出身=が、Jリーグ1部のヴィッセル神戸に入団する。公立中学校サッカー部からヴィッセル神戸ユース、中央大と進み、憧れの地元クラブでプロとしての一歩を踏み出す。選手層の厚いチームでゴールキーパー(GK)のレギュラー奪取を目指す坪井選手は「チーム、日本を代表するキーパーになりたい」と目標を描く。(聞き手・篠原拓真)
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-自由が丘中からヴィッセル神戸ユース(U-18)へ進み、環境が一変した。
「中学校の下校時間は日没に合わせられ、冬場は練習時間が30分ほど。(ユースに入り)練習環境が180度変わったし、周囲は中学校から(下部組織の)ジュニアユースや強豪クラブで練習していた子ばかり。練習に食らいついていくので精いっぱいだった」
-高校2年の終盤から試合に出るように。
「少しずつ差を縮めようと、時間を見つけては走り込んだり、ボールを蹴ったり、筋トレをしたりと自主練習に力を入れた。不安や焦りで心が折れそうな時もあったが『時間を削って応援してくれる両親のために』という気持ちが支えになっていた」
-プロへの意識が変わったのは。
「高校3年の時にトップチームの練習に参加した時。プロと自分との(レベルの)距離をつかめ、俊敏性や足元の技術で戦えるのではないかと手応えを感じた。『プロになれたらいいな』という気持ちは『なりたい』になった」
-身長183センチで技術力の高さや判断の速さが評価されている。目標とする選手は。
「Jリーグではヴィッセル神戸の飯倉大樹選手が目標。身長も似ており『ビルドアップ(GKから始まる攻撃の組み立て)』と『シュートストップ』ができる選手。同じチームで練習ができるので、技術を学んで超えるつもりで臨みたい」
-目指す選手像は。
「『環境に恵まれなくても自分次第でプロ選手を目指すことができる』と勇気を与える存在になりたい。中学校まで伸び伸びとサッカーをしていたことはよかったと思っている。三木の子どもたちがプロサッカー選手を目指すきっかけになれるよう頑張りたい」
■相当な努力のたまもの 小学校時代に所属した「ヴィリッキーニ自由東SC」の矢田康三郎代表
落下点を探る空間認識能力と跳躍力は目を見張るものがあった。性格は負けず嫌いで、小学生の時から攻撃的なキーパー。チャンスがあれば得点を狙い、他のフィールドプレーヤーよりも上手だった。でも50メートル走は10秒台、マラソンもドンケツ(最下位)で走力は並以下。中学、高校で相当な努力をしたのだと思う。ヴィッセルはアジア有数のチームで選手層も厚い。これからが勝負。けがに気を付けて頑張ってほしい。
■PK戦勝ち号泣今も記憶に 自由が丘中時代の指導者・米澤真司教諭
プロのハードルは高く、中体連(中学部活動)所属からプロになるとは想像できなかった。3年生の東播大会で、PK戦でシュートを防ぎ、勝って号泣していた。PKが得意ではないイメージがあり、すごいプレッシャーと闘っていたのだろうと記憶に残っている。根が真面目で努力の過程も知っている。プロは厳しい世界だが、彼ならくじけずにやってくれるはず。ノエビアスタジアムに立つ時は何があっても見に行きたい。