ゴルフの日本オープン選手権で、95年ぶりとなるアマチュア優勝を飾った兵庫県加東市出身の蟬川泰果(たいが)選手(21)。北播磨から誕生した新星に、試合会場となった同県三木市も興奮に包まれた。最終日の23日は三甲ゴルフ倶楽部ジャパンコース(同市吉川町冨岡)に約4千人のギャラリーが詰めかけて蟬川選手にエール。「ゴルフのまち」が偉業を後押しした。(長沢伸一)
日本オープンは「日本一」の称号を争う国内屈指の大会。市内での開催は、2005年の廣野ゴルフ倶楽部以来で、ゴルフファンの注目が集まっていた。
大会は20日の初日から蟬川選手が存在を誇示した。64の好スコアをマークして暫定首位に立つと、3日目までトップをキープした。
同大会のアマチュア優勝は1927年の第1回以来、達成されていない。快挙を見届けようと、最終日は当日券を買い求める人も見られ、蟬川選手は多くのギャラリーの視線を集めながらプレーした。最終18番ホールでカラーからパットをねじ込んで優勝を決めると、大歓声が響いた。
表彰式には仲田一彦市長が出席し、コメなど三木市内特産品(1年分)の目録を贈呈。会場となった三甲ゴルフ倶楽部ジャパンコースの茶木邦夫支配人(54)は「蟬川選手は地元を沸かせてくれた。さらに大きく羽ばたいて、地元をさらに盛り上げてほしい」とゴルフ熱の高まりを期待した。
蟬川選手が小学5年生の時から通うライオンズカントリー倶楽部(同市吉川町新田)の会員約20人も会場に駆けつけ、歓喜の涙を流した。蟬川選手は現在でも2、3カ月に1度は同倶楽部に練習に訪れているといい、江藤佳樹支配人(51)は「メンバーさんもスタッフも小さい頃から練習に励む蟬川選手の姿を見ていた。ただただすごい」と称賛していた。