江戸時代、三木の特産品として全国的に知られた「染め型紙」。着物を仕立てる生地に模様を染める道具として作られ、その洗練されたデザインは19世紀の欧州ファッションにも影響を与えたとされる。その染め型紙を長年収集してきた筒井俊雄さん(95)=大塚2=が所蔵する1242点の来歴などをまとめた調査報告書を、三木市教育委員会が発行した。筒井さんは「このまちにかつて、金物以上の特産もあったことを広く知ってもらい、常設展示などの契機になれば」と願う。(大山伸一郎)
■全作品を分類した目録と、一部を拡大した図版も掲載
藍染めの道具である染め型紙は、書き損じのほご紙を再利用するなどして作られた。販売した「型屋」は1742年には当時の三木町に16軒、1818年には18軒と、鍛冶屋より多くあったと伝わる。ただ明治に入って化学染料が登場し、三木の染め型紙文化は昭和以前に姿を消したという。