震災前とほぼ同じ場所で電器店を続ける加藤正史さん、朱美さん夫妻=淡路市富島

 「においというか雰囲気というか…。うまく説明できないけど、ここはほっとする場所」。阪神・淡路大震災前から淡路市富島で電器店を営む加藤正史さん(63)、朱美さん(61)夫妻は富島をそう表現する。

 地元出身の朱美さんと三重県出身の正史さんは大学時代に京都で知り合った。結婚後、1980年代半ばから富島に住み、朱美さんの父親が始めた電器店を引き継いだ。店があった商店街には時計店や呉服店、薬局などもあって人通りが多く、活気があった。