兵庫県は24日、組織の違法行為を告発した公益通報者を保護する制度について、県の実施要綱を改正したと発表した。これまで、報道機関などに対する外部通報(3号通報)は、通報者に対する不利益な取り扱いを防ぐ「体制整備義務」の対象として明記していなかったが、3号通報を含むすべての公益通報者を保護すると明確にした。来年1月1日に施行する。
公益通報は、組織の違法行為を組織内部の通報窓口(1号通報)や外部の行政機関(2号通報)、報道機関など(3号通報)に告発することをいう。公益通報者保護法を所管する消費者庁は、同法に基づく現行の法定指針で、3号通報を含めた体制整備義務を行政機関や民間事業者に課すとしている。県は、6月の同法改正や、それに伴う新たな法定指針案が今月固まったとして、要綱を改正した。
新要綱では、通報内容に関して利害が衝突する職員を対応業務から外す「利益相反の排除」や、知事や幹部職員が関係する事案の場合は知事らの関与を排除する「独立性の確保」を明記。通報行為の妨害や通報者の探索を禁止した。その上で、2、3号通報についても1号と同様、公益通報者の保護を徹底するとした。
また、制度の適正運用について外部の専門家によるモニタリング体制を確立。個別の通報事案に関して随時チェックを受けるほか、運用も評価や助言を定期的に受けた上で結果を公表し、改善につなげるという。
同法の解釈を巡っては、斎藤元彦知事が3月の会見で、体制整備義務は「内部(1号)通報に限定されるという考え方もある」と発言。同庁が「公式見解と異なる」と指摘していた。
一方、斎藤知事らへの告発文書問題では、第三者調査委員会が、告発者捜しなどをした知事らの対応を「違法」と判断。斎藤知事は「文書内容は誹謗中傷性が高く、弁護士とも確認しながら適切、適法に対応した」などと主張している。
(岡西篤志、井上太郎)
























