災害への警戒を促す気象庁の防災気象情報の発表体系が29日、大きく変わる。従来の警報と特別警報の間に、危険な場所からの全員退避が必要な「危険警報」を新設。河川氾濫と大雨、土砂災害、高潮の4種類の災害について、警報の名称と相当する警戒レベルを併記して迅速な避難につなげる。梅雨や台風などによる出水期を前に変更点を理解し、自宅周辺のハザードマップも確認したい。(田中宏樹)

■29日から運用開始/警報名と警戒レベルを併記
内閣府は2018年の西日本豪雨で逃げ遅れによる犠牲者が多く出たことを踏まえ、大雨や洪水といった災害のリスクを5段階の警戒レベルで伝える。レベル3は「危険な場所から高齢者らは避難」、同4が「全員が危険な場所から避難」、同5で「ただちに安全確保」など取るべき行動を定めている。
現行では大雨警報や洪水警報がレベル3、河川の氾濫危険情報や土砂災害警戒情報はレベル4に相当する。大雨による浸水害はレベル4相当を示す情報がなく、氾濫や土砂災害は警戒レベルとの関係の分かりにくさが課題だった。

新たな発表体系では1級河川など大河川について、雨量や水位予測などを基に「レベル3氾濫警報」「レベル4氾濫危険警報」などの名称で危険性を発信。氾濫の発生や切迫した状況を伝える場合は「レベル5氾濫特別警報」を出す。
兵庫県内は加古川や円山川、千種川など11河川で、予報区に指定された流域が対象となる。それぞれの予報区に応じ、警戒が必要な市町が定められている。

大河川以外の氾濫や、浸水の危険性を示す情報として「レベル4大雨危険警報」を新設。従来の「洪水警報・注意報」は廃止し、「レベル3大雨警報」「レベル5大雨特別警報」などの表現で啓発する。
崖崩れや土石流など土砂災害への警戒を求める情報も、危険性が直感的に分かる「レベル3土砂災害警報」「レベル4土砂災害危険警報」などに変更する。地中に染み込んだ雨量と1時間の降水量から判断する。
気象庁は警戒レベルが「4」に達すると見込まれる場合に限り、その3時間前に「レベル3土砂災害警報」を発表する。神戸地方気象台防災気象官の芝岡隆さん(55)は「土砂災害は警報が発表されればその後に危険警報も出ると考え、早めに安全な場所へ避難してほしい」と呼びかける。
高潮は特別警報と警報をいずれもレベル4相当としてきたが、体系を整理して避難行動との関係を明確にした。暴風や大雪などはこれまで通り「警報」「特別警報」で運用する。
自治体はこれらの防災気象情報を基に「高齢者等避難」や「避難指示」を出す。芝岡さんは「ハザードマップで自宅や職場の周辺にどんな災害の危険があるかを知ることが大切。命を守るための行動を防災気象情報からも判断してほしい」と力を込めた。
■地域の危険度、リアルタイムで把握 気象庁HP
危険警報など防災気象情報の発表状況や土砂災害の危険度などは、気象庁ホームページ(HP)の「あなたの街の防災情報」からリアルタイムで把握できる。普段使うスマートフォンやパソコンで知りたい情報の種類と地域を設定すれば、平時も災害時も活用できる。

「あなたの-」は2021年2月に運用が始まった。気象庁ホームページのトップ画面から「防災情報」を選び、都道府県と市区町村を設定。メニューの「表示をカスタマイズする」を選ぶと、必要な情報を選択する画面に移る。
雨雲の動きや降り始めからの雨量、週間天気予報など多彩な情報から画面に表示させる項目を選ぶ。「現在の状態を新規保存」から設定を保存したり、画面をブックマーク(お気に入り)登録したりすれば、次回からすぐに閲覧できる。
対象の市区町村や表示する項目を変え、複数の設定を保存することもできる。神戸地方気象台リスクコミュニケーション推進官、笠良太さん(58)は「晴天時と雨天時、自宅と職場などそれぞれ別の設定を登録すれば使い分けができる」と勧めていた。
(田中宏樹)























