「神戸は空気まで淡くブルーがかっている」。そう書いたのは、作家の司馬遼太郎さんだった。街を青く染め上げる港が、変貌を続けている。2027年に開港160年を迎える神戸港。海の玄関口はさらに広く、さらににぎやかに生まれ変わる。(末永陽子)
■新施設続々、ライブハウスも計画
神戸市が2040年ごろの完成を目指して進めている「神戸ウオーターフロント」の再開発計画。3地区(中突堤周辺、京橋、新港突堤西)に分けて、再整備を続けている。
新たなにぎわい創出の舞台は、新港突堤西地区。かつて荷物の運搬に使われる「はしけ」が行き交い、港湾物流の中核を担った。船舶の大型化などで、港湾機能がポートアイランドや六甲アイランドなどに移っていく中、神戸市は11年から再開発に乗り出した。

21年に劇場型水族館アトアの入る複合施設「神戸ポートミュージアム」、25年春に約1万人を収容できる「ジーライオンアリーナ神戸」がオープンした。バスケットボール男子Bリーグプレミア(Bプレミア)「神戸ストークス」の本拠地でもあり、音楽ライブや「MICE(マイス)」と呼ばれる国際会議なども開かれている。
アリーナ開業で神戸ウオーターフロントの認知度は高まりつつある。市担当者は「歩く人の数も増え、メリケンパークなど周辺への波及効果もある」とみる。
進化は続く。来春には「スーパーヨット」と呼ばれる高級大型クルーザーに特化した国内初のマリーナが開業する。レストランなども整備され、国際ボートショーなどの催しも見込む。
京橋地区では、28年春に「音楽の図書館」をテーマにしたライブハウスがオープンする予定。カフェを併設した2階建てで、気軽に音楽に触れられる場とする。
また、中突堤周辺は歩いて楽しい空間づくりを目指し、中突堤中央ターミナル「かもめりあ」周辺などの再整備が予定されている。
■船からの風景 神戸港は別格 船舶投資ファンド「アンカー・シップ・パートナーズ」 篠田哲郎社長
海からまちを元気にしたい-。そんな構想を描くのが、船舶投資ファンド「アンカー・シップ・パートナーズ」(東京)社長の篠田哲郎さん(57)だ。投資家から募った資金で船舶を調達し、海運会社に運航してもらう事業を展開する。
銀行員時代、各地の産業を支える船の力に着目し、2007年に創業した。リーマン・ショックの直後、地方銀行からの依頼で地元の造船会社を支援した。投資家の利益だけでなく、地域の産業を守る。その出来事が事業の原点となった。

今は約80隻を保有し、そのうち30隻が世界の海を航行する。金融業で海運を支える一方、近年は地域創生にも軸足を広げる。一つが、日本郵船グループが運航する豪華客船「飛鳥」だ。
飛鳥3の調達には全国各地の地方銀行も参加し、船内では寄港地の特産品などを紹介する。熊本・天草では乗客と地域住民が現地の商店街で交流する催しを開き、神戸港では市の協力で花火を打ち上げた。「飛鳥を通じて各地の魅力を広めたい」と話す。
全国の港を知る中でも「神戸港は別格」と評する。「入出港時に見える山、街、海。港を核に形成されてきた歴史を感じる」。さらなる活性化策のヒントを聞くと、「観光客が地元住民と交流すると割引になるサービスはどうでしょう? 『交わり割』のような」と笑い、「神戸をより好きになってもらう仕掛けが必要」と続けた。
現在、日本の伝統工芸と福祉施設を連携させる事業も進めている。「今後も人と人、地域と地域をつなぐ仕事を続けたい」。篠田社長の挑戦は続く。
























